2人力

天身は、「強盗か!?」と言いたくなり、雅代の顔を見る。

雅代は、「助けに来てもらえた」と思い、天身の顔を見る。

目が合った2人は、「ふふっ」と笑顔を交わした。


この吹雪の中では、その装備が無ければまともに活動できないだろうというのは、容易に想像できる。

むしろ、これが本来の、正しい目出し帽の使い方だ。


雅代はすぐに運転席の窓を開けて、挨拶をする。

さっきこちらの様子を見て、助けに来てくれたのだと言う。

それを告げた後すぐ、目出し帽の男は、黙って車の前に向かった。



「押してくれるって。」



そう雅代は天身に伝えた。

すると天身は、すぐさま装備を整え、助手席から外に出て行った。


2人がかりで車を押す。

先ほど天身が1人でやった時と比べ、積雪が深くなっており、車も人間も動きにくさが増していた。

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