覆面

それ以後は、除雪車から声は聞こえなかった。

そして、再び動き出し、前方へと消えて行った。



「聞こえたかな?」



少し弱まったようでも、外の風はまだ強い。

運転席から出た雅代が、ボンネットを押す天身に叫んだあの時は、風にかき消されて届かなかった。



「わからないけど、発見はしてもらえたね。」



天身は楽観している。


それから数分、2人は雑談していた。

すると、今度は前側から、除雪車がやって来た。

そして、2人の車のすぐ後ろに停車した。


おそらくさっきの除雪車だろう。

完全にこちらの状況に気付いてくれている。


窓の外で人影が動いた。

そして、トントン、と、運転席のドアを叩く。



目出し帽にゴーグル...。



動き方からして、男性だと思われた。

その姿を見た天身は、映像作品中の銀行強盗を連想した。

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