逆ら

。o(無駄だと言うのは無駄以下の愚挙...あ~...)



1度ならず2度までも、死神に抱かれる事を他人に求めるのか。

死を求める旅人の天身でさえも、運転席の女のその要求には嫌悪感が湧く。



「ライトを点滅させるので、それを合図に押してください。」



前回上手く行かなかった原因を、雅代はタイミングだと思ったようだ。

いや、それ以前に、この後の仕事の責任上、無駄だろうともやるだけやっときたい、そんな気持ちの整理のために、天身に命を賭けろと指示しているのかもしれない。



「さっきボンネットを叩いたのわかった?」



一応、確認を入れる。



「いや、全然。」



。o(まあそうだろうな)



虚しさが込み上げてきた。

しかし、天身は、自分の気持ちに逆らった。



「やりましょう。」



ペットボトルのお茶を飲み、コロッケパンを半分食べ、「ふう」と息を吐き、天身は前回と同じようにして助手席のドアを開けた。

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