天身の死生
地面が平らではないらしく、左半身は腰まで雪の中に埋もれている。
全身の重みと力を手に乗せる。
車は動かない。
身体からどんどん力が抜けていく。
顔だけでなく、他の部位も感覚が失われつつあった。
。o(なるほど)
天身の頭の中に、山岳遭難の物語が浮かんだ。
それを見た時は、凍死する感覚がピンと来なかった。
今、それを体験できている。
。o(これは死ねる)
寒さと強風により、身体の力は既に大幅に奪われていた。
今、これ以上押したところで無駄だ。
。o(車内に戻れるか?)
肉体のど真ん中から脳へ、危険信号が届いた。
このままだと動けなくなって終わる、そんな気にさせるレベルのものだった。
。o(最善)
全ての感覚が鈍る中、天身は、「自分の死は、今やるべき最善を尽くした先で迎えるものだ。」と、自身の心の声を聞いた。
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