12/5

 なにか欲しいオモチャを選ばせようにも、秋田県大館市で唯一オモチャを売っていたイオンスーパーセンター大館はとうの昔に廃墟である。どうしろというのか。かろうじて中古のゲームは手に入るものの、3歳の子供にゲームを与えるのは気が早いと思う。


 あかりは2歳くらいからゲームしていたらしいのだが、本人いわく「親がゲーマーであったからな」とのことなので、ふだんゲームしない我が家ではどうしようもない。


 3歳では将棋セットを与えてもよく分からないだろう。布に刺繡で作ることもできるが、3歳だとどうしても将棋崩しみたいな遊びをすることになり、それは布製では難しい。


「どうすべ、あかり」


「発起人がちゃんと考えてけれ。あたしはケーキの焼き方を調べるので忙しい」

 あかりは異世界でも容易に手に入る米粉でケーキを焼くつもりらしい。


 うーんどうすべ。そう思っているとあかりの父さんがやってきた。あかりの父さんは警察をリタイヤして、いまはあかりの母さんの実家である角館でマスオさんをやっている。

 ナイスタイミング。早速相談してみることにした。あかりの父さんはふむふむ、と聞いて、難しい顔をした。

「クリスマスかあ……子供の欲しがるいんたものなぁんも売ってねぇものなあ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る