第7話 私は独りじゃないの。

翌朝しおりは…と言いたいところだがしおりは寝れなかった。

実際翌朝なのだが、しおりは一睡も出来ておらず、彼女にとってはまだ夜なのだ。


あー。

こんな時に眠れるはずない。

だって千沙羅くんが女の人と一緒に居たって事実があるもんね。

しかも彼女作る気はないって言ってた。

あの女の人は一体何?千沙羅くんの遊び相手ってこと??理解できない。


スマートフォンに通知が来た。

私はなんの躊躇もせず、スマートフォンを手にした。

そして画面を見た。


しおりちゃんおはよう

昨日はごめんね

それと話したいことがあるなら話してよ

ディナーにでも連れていくからさ


え!?なにこれ!?しんどい。

千沙羅くんに幻滅した。

なんかキモい。

もう無理。

もうあなたじゃないの。

今連絡が来てほしいのはあなたじゃないの。


私はそして、深い眠りへとついた。



「どうしたんだ?」


感情を感じ取ったかのように優しく声をかける刻晴。


また私のいる教室に来たのね。

私すごく会いたかった。

でもそれを口にすることはできない。

あれ?

なんか波だが出てきた。

どうしよう。あれ?


しおりは顔を伏せた。


「大丈夫だー!」


刻晴はしおりの背中をさすった。


「俺がいれば大丈夫だー!」


声だけでわかる。

刻晴くんは笑顔だ。

その笑顔に私はずっと救われていたんだな。

まだ会って間も無いかもしれないけど、それでも私にとっては大事な人。


「刻晴くんが居れば大丈夫な気がしてきたよ。」


しおりは涙を拭いて笑顔でそう言った。


「これからもそばにいるぜ!」と笑う刻晴は輝いていた。


「それって告白?」


しおりは笑いながら言った。


「どうかね?」


刻晴も笑いながら言った。


「しおりちゃん昨日はごめんねー」


千沙羅が手を合わせながらしおりに近づく。


「もう大丈夫だから。私にはあなたじゃないの。」


しおりは笑いながら刻晴の手を引きその場を後にした。


もう、私は独りじゃない。



2人の手はいつの間にか優しく繋がれていた。

それはとても暖かく、心地よいだろう。

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あなたじゃないの。 ぴんくのーと @pink0116

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