第6話 無心って怖い。知らないって怖い。

家に帰ったしおりは何故か無心だった。

そして無心でベットに横たわり、スマートフォンへと手をかけた。


「千沙羅くん。」


そう言いながら電話マークを押した。

というか押してしまった。

永遠なんてないと考えてしまったからだろうか。

無心だったしおりはそこで正気に戻ってしまったのだ。


え、ヤバすぎる。

今私何した!?

なんか画面の表示が電話っぽいじゃん。

もしかして…


「もしもし、急にどうしたの?」


千沙羅くんだ。

どうしよう。


「ごめんなさい。なんでもないです。ごめんなさい。」


これが今の私に出来る精一杯の言葉だ。

これでいいんだよね?


「ちさくん誰と電話してるのー?」


「同じクラスの女の子だよ」


「えー?本当かな?彼女だったりしないー?」


「彼女なんていないし、作る気もないよ」


「私みたいな子が居れば十分なの?」


「そうだよ〜…あっ、ごめん、何もないならそろそろ切るね」


「すみません。失礼しました。」


「いいよ、また学校でね」


女の人の声がした瞬間からしおりの思考は止まっていた。

それでも謝罪の言葉を述べた。

そう、しおりは頑張ったのだ。


「よし、とりあえず今日は寝よう。」

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