第5話 キミノアス
ギターを弾き始めて15分が経った。
「俺は昔から歌うことが好きで、父ちゃんと母ちゃんに褒められて育ったんだー、けど俺よりも上手い人はたくさんいてそれが辛くて人前で歌うの辞めたんだ」
刻晴は自分の過去のことを話し始めた。
しおりはそれを聞いて胸が苦しくなった。
「私と同じだ。私も弾き語りが好きだけど自信がなくて人前で歌うことは避けてきたの。でもある人が褒めてくれて、その人のお陰でまだ続けていられるんだ。」
しおりはニコッと笑った。
「そうなんだ!突然だけどさ、キミノアス歌ってもいいか?」
「いいよ。私ギター弾くから安心して。」
「一緒に歌いたいんだー!だからいつも通り弾き語ってよ!」
「わかった。」
ジャーン
ジャジャジャジャジャーン
キミのことを好きだと思う気持ちが
積もるだけで何も起きず
ただ俯いてばかりいる
そんなボクを見ないでほしい
楽しいことばかり考えては想像止まりで
何も出来ない、次が無いみたい
苦しいな、でも好きだよ
キミノアスにボクが映っているなら
それだけで幸せだな
永遠にこの距離を保つのもいいね
なんて馬鹿なことを思うよ
奥手なボクをどうか飽きずに待っててほしい
ゆっくり待っていてほしい
「やっぱり音楽っていいね。」
「そうだな!」
なんか、楽しい。
こんな時間が続けばいいけど、永遠なんてないんだ。
わかってるよ。
どうせまた私は失ってしまう。
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