第2話 今日も頑張ろう

連絡先まで交換してしまった。

グイグイ来る系の人なのね。

少年系だからまだ許せるわ。

それにしてもまた弾き語りしてほしいとか。

明日もこの時間ここに来てほしいとか。

1回会ったばかりなのにどうしてそうなるの?

断れなかった私も悪いけどね。

コミュ力ない人は断ることも出来ないのよ。



「しおりちゃんおはよう」


「おはよう千沙羅くん。」


やった。

挨拶してくれた。

嬉しいな。

今日も頑張ろう。


「あの子ずっと菜彩さんの事見てるよー!」


2限が終わり、食堂に行く支度をしていた時にあの子が話かけてきた。

そう、千沙羅くんと仲の良い女子その1が話しかけてきた。

どう返事すればいいの。

ていうか、千沙羅くんと仲の良い女子その1って呼び方も良くないか。

浜海はまみ愛莉あいりさん。

てかそれよりずっと見てるってなに!?


しおりが辺りを見渡すと、知った顔があった。

そう、刻晴がいたのだ。


「あの子ちょっと知り合いなんです。教えてくれてありがとうございます。」


「いえいえー!」


私は走った。

誰かの視線を感じながら走った。


「ちょっと、なんで教室にまで来るんですか。」


「いいじゃん!それより、しおりってずっと敬語だよな?何でだ?」


何この人。

凄く笑顔なんですけど。

眩しい。

無邪気な笑顔でこっちを見ないで。


「理由なんてないです。」


「じゃあ敬語無しな!」


「わかりました。」


うわー。

咄嗟に返事してしまった。

仕方ない。

敬語辞めるか。


「俺、食堂行く所なんだけど、良かったら一緒に行かないか?」


え、何事!?

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