第29話 スキル【レイピアの使い手】

 セカンドブリッジとティーブリッジの間の崖下には、いくつかの洞窟がある。その洞窟の一つに、川沿いのダンジョンがあるようだ。


 足元は川沿いにあるため凸凹で、岩が散乱している。もちろん舗装等がされていないので、ランドとメリーも走りにくそうだ。こんな場所...誰も来ないだろう。なぜこんな場所にダンジョンが誕生したのだろう...。


 マゼールがいなければ、絶対に分からない...。


 どう見ても、ただの奥が深い普通の洞窟にしか見えない。この奥にダンジョンがあると分かる旅人や冒険者はいないだろう。


 洞窟内には野宿した形跡があるが、入り口付近で雨宿りや一泊をしただけだ。ありふれた洞窟としか思われていない。


 セカンドブリッジができてからは、さらに注目がされなくなったと思う。周囲に何もないティーブリッジを通りに行くような、もの好きはいない。


 昔はティーブリッジ周辺にも集落があったようだが、セカンドブリッジが完成すると、皆なダージリン村に移住した。人口の少ない集落は、盗賊や魔物の被害に遭いやすいから。皆な、ダージリン村の方に移り住んで行った。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 洞窟内は暗いので、足元に注意しながら進む。ダンジョン内に入れば明かりがあるはずだ。それまではズリーにライトの魔法をかけてもらう。こういう時に【生活支援士】、いや今は【1K】のズリーのスキルは非常に便利だ。


 だが、ズリー本人は戦えないことが不満らしい。


 十分役に立っているんだけどな...。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 洞窟の入り口からダンジョンまで1キロも歩かされた。


 こんな所にダンジョンがあるなんて、誰が見つけられるんだ?スタンビートを狙って作ったのか?と怒りがこみ上げてくる。


 そんな時、前方に眩しい光が差す扉が現れた。なぜここだけ明るくしているんだ?ここじゃないだろう?洞窟の入り口に、「ダンジョンあります」と看板でも立てかけておけよ。


 何ともまあ...ツッコミどころ満載なダンジョンだ...。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「皆な、聞いてくれ! 扉を開けると、魔物が襲ってくるぞ! でも、作戦通りにやれば大丈夫だ! ズリーにバリーできるな? 今ならまだ引き返せるぞ?」俺は2人に聞いた。


 扉の向こうには、魔物が次々と現れるだろう。一度開けたら、もう二度とは...戻れない。


「大丈夫です!出来ます!」


「や、やるんだな。おらできる、主人やみんながいる。でぎる!」


「その意気じゃぞ。なに、まかせておけ、我らがついておるからの!」とレバルドは、バリーの肩をポンポンと優しく叩いた。


 ズリーの傍にはゼファーが寄り添っている。2人は見つめ合って深く頷いた。言葉は...いらなかった。


「さあ、扉を開けるぞ!」


 俺とレバルドが赤く重厚な扉を、左右にそれぞれ引き開けた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 扉の向こうには、魔物がごった返していた。


 一目で30匹、いや50匹はいると分かる。通路は馬車が通れるぐらい広いが、分かれ道はない。魔物たちは一本道にひしめき合って、俺たちの到着をじっと待っていたかのようであった。


 扉を開けるや否や、魔物たちは一斉にこちら側に向かってきた。


 バリーは手綱を巧みに操り、ランドとメリーを必死に落ち着かせている。


 ダンジョンの一階って、もっと敵が少なくて弱い魔物が少数いるイメージだった。俺も少し引いてしまう。


 足元からは地面を這いずる魔物たちの音が聞こえる。ビッグシースラグ巨大ウミウシビッグマイマイ巨大カタツムリポイズンスラッグ毒ナメクジの大群が、粘液を床にたれ残しながらこちらに向かって来る。


 そして、魔物たちの呻き声が響く。「シャオ~」という低い声が、ダンジョン特有のぼんやりとした明かりの灯る通路内で、ひときわ響き渡る。


 川辺のダンジョン1階に現れる魔物たちは、人間の早歩きぐらいの動きだ。そこまでは早くはないが、囲まれたら危険だ。


「さあズリー、そしてバリー!狩りの時間だぞ!作戦通りやれば必ずレベルアップできるぞ。恐くなったら、すぐに後衛に戻るんだ!」俺は2人にはっぱをかけた。


「わ、分かりました!出来ます!」ズリーは、俺たちの集団から一歩前に出た。


 作戦は簡単だった。向かってくる魔物の群れにズリーが真空波を放つ。風きりのナイフを力まかせに振るだけでいい。ひたすらごり押しでやっつける。


 ズリーが疲れたら、今度はバリーの出番だ。敵に突進しながらウォー・ハンマーを振り回す。これもまたごり押し作戦だ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 魔物たちが俺たちとの距離を約50mまで近づけてきた。ズリーは右手を振り上げ、戦闘態勢に入ろうとした。しかし...まだ早い。


「ズリー、まだだ!頑張って堪えろ!まだ早い!」


 俺が慌てて止める。まだ、風きりのナイフの射程距離には入っていない。


 はっとした表情で、一方後ろに控えている俺たちの方を振り返る。そして、待機している者全員でズリーを見つめ、深く頷く。


 49,48,47,46,45...まだだ。怖いだろう。でも耐えろ。がんばれ、ズリー!


 20,19,18,17,16,15。よし、いいぞ!よく耐えたぞ、ズリー!


「よし,ズリー!腕を振り回して、真空波を魔物に喰らわせろ!」


「は、はい!だ、旦那様!」


 15mほど離れてはいるとはいえ、戦闘に慣れていないモノからすれば、滅茶苦茶近くに感じる距離だろう。


 よく耐えた。


 その怖さを振り払うかのように、ズリーは「成仏して下さい!!」と叫びながら、風きりのナイフを何度も上下左右に振りかざす。


 戦術0のごり押し戦法だ。しかし、その戦法は間違っていない様だ。


 ズババババ!!ザクザクザク!!ズガガガガ!!


 ブチュウウウ!グズズズズ...


 ズルルルル...パチンッ!ベチョベチョベチョ...


 ピチャンッ!ブクブクブク...


 周りには魔物たちの残骸で酷いことになっていた。


 しかし、次の瞬間、魔物の残骸は跡形もなく消えていった。しかし中には...。


 コロコロコロコロ...。


 カラカラカラ...。


 ドサッ!


 魔物の遺体が消えたあと、地面には黒い球や物体が残った。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 戦闘って、こんな大変なモノなのなのですね。旦那様やレバルド様は、こんなに大変な事を、いとも簡単になさっていたのでしょうか?


 私は、無我夢中で腕を振りました。ただ、腕を振り続けるだけでした。敵を倒せば倒すほど、身体中が痛くなりました。おかしいです。もう右手が上がりません...。そして、息をするのも辛いです...。


「はぁはぁはぁ」


 もうだめだ...。


 両膝から地面に崩れ落ちてしまった。


 旦那様が「丈夫かズリー!」と、とても心配そうな表情を浮かべ、地面に倒れそうになった私を支えてくれました。


 旦那様にはいつも助けてもらってばかり...。でも、今回の戦闘で少しは強くなれたでしょうか?少しでも長くお傍にいさせてもらえるでしょうか...。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「は、はい、旦那様!大丈夫です。ただ...すみません。身体が、各所が痛くて、腕が上がらなくて...」


 ズリーは弱々しく俺に訴えてきた。


 急激なレベルアップにより、身体的な変化に付いて行けないのだろう。


 俺はすぐにズリーを後衛に下げた。


「ごんどは、おらの番なんだな」と言って、御者台から降りたバリーは、俺にスーちゃんを預けた。そして、魔物の群れの中に突っ込んでいった。


 ビッグシースラグ巨大ウミウシと同じくらいのスピードでバリーは魔物が近づいていく。ウォーハンマーを力強く振り回すと、魔物たちは次々と吹き飛ばされる。


「おだおだ~!!おらもづよくなるど!!」と叫びながら、バリーはビッグマイマイ巨大カタツムリの硬い殻も容易く破壊していく。


 魔物の数はどんどん減っていく。この隙に俺はズリーに【高度先端医療】をかけてやる。レベルアップによる筋疲労を回復させるためだ。


【高度先端医療】の効果でズリーが復活した。


「旦那様!ありがとうございます!復活です!私はまだまだ戦えます!」と言って、ズリーは再び風きりナイフを魔物に向かって振りかざす。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 バリーとズリーによって、1階層に溜っていた魔物の群れは壊滅された。


 2人だけで200体の魔物を倒したのだ。その活躍に、マゼールは嬉しそうに言った。


『お疲れ様です。ズリーさんバリーさん。ご苦労様でした。さあ、地面に落ちている魔石と戦利品を集めましょう!』


 魔石とは、魔物を倒すと希に出る球のことだ。燃料として重宝される。ここのビッグマイマイ巨大カタツムリなどは水系の魔石を出す。水系の魔石は、飲料水や生活用水として活用される。


 また、魔石ではなくアイテムが出ることもある。床を見てみると、2,3個のアイテムが落ちている。その中には、伝説のローション「イ〇カ帝国の成立」があった。


 これは、白銀貨2,3枚の価値がある貴重なアイテムだ。他には、家庭用洗剤「ママレ〇ン」があった。これは価格が安い。価値の差が激しい。


『4階層まで、この状態が続きます。5階層からは敵が強くなりますが、魔物の数は減ってきます。ただし、70~80体は魔物がいますよ。さあ、次の階層に進みましょう!』と、マゼールは俺たちに方針を伝えた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ズリーとバリーのレベルを見せてもらうと、だいぶ上がっている。これなら、普通のダンジョンの5階層までは、安全に一人で踏破できるレベルだ。そう思った。


「まだレベルアップ作業は可能か、2人とも?」と、2階の扉の前で軽食を取る2人に聞いてみた。


『大丈夫です!自分が強くなったのが分かります!私も旦那様の様に【剣術】スキルを集めて、旦那様に負けないようになりたいと思います」とズリーは笑顔で語った。


 ズリーは、べレンド街の火災で生き別れになってしまった世話係の、ルリカに憧れているらしい。


 ルリカはレイピアを使っていたので、ズリーもレイピアを扱ってみたいと思っているようだ。俺はそんなズリーに、「自分で好きな武器を選んだ方がいい」と言った。好きな武器で好きなように戦うがいい...。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 


 ダンジョン内でレベルアップとスキル本集めに励んだ俺たちは、休憩を挟みながら5日間で7階層を踏破した。


 その過程で、ズリーとバリノーは大幅に成長し、数々のスキル本と貴重なアイテムを手に入れた。


 その中には、「イ〇カ帝国の成立」というローションや、大量の「ママレ〇ン」が手に入った。


 それ以外にも、大量の貨幣と貴金属、貴重な武器と防具も手に入れた。


 やはりダンジョンに愛されているのかもしれない。ズリーのためにと思われる「姫騎士セット」が現れた。


 双剣タイプのレイピアと胸当て。それにフェイスシールドだ。ズリーはレイピアを今後の武器にと思っていたので、非常に喜んだ。


 また、バリーとレバルド用の肩当て、「マイマイショルダー」も手に入れた。2人の体格に合わせてあるとしか思えないフィット感だった。絶対にダンジョンが2人のために用意してくれたとしか思えない。


 更にはスキル本も大量に出現し、貴重なスキル本が大量に取得できた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 手に入れたレベル本

【征矢召喚】×17

【薬草学】×17

【鉱物学】×22

【再生】×1

【知識】×15

【抽出】×14

【会話】×22

【揉む】×4

【細胞】×3

【レイピア】×12

【ルーム】×14

【挟む】×2

【敏感】×1

【夜の帝王】×3



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


『どうしますか?久しぶりにスキル本が沢山集まり、混ぜ混ぜができるようになりましたよ!』


 そんなにランクアップできるまで、スキル本が集まったのか?


『も~、デニットさん!しっかりとして下さい!レバルドさんの腕を治すための【錬金術】と、ズリーさんの武器スキル、【レイピア】ですよ!』と、マゼールは少しプリプリとした口調で俺に伝えてきた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「しかし、【レイピア】はまだ12冊しか集まっていないぞ?【炎の剣使い】の時は【剣術】スキル本が確か50冊必要だった。まだ全然足りていないのだが?」と、マゼールに少し伺うような口調で聞いてみた。


するとマゼールは、 『スキル本の価値によって、必要な冊数は変わります!【レイピア】のスキル本がこんなに簡単に手に入るなんて、ここのダンジョンは異常です!まるでダンジョンがズリーさんに、早くレイピアを使い使いこなすようにと促しているかのようです』と言ってきた。


 そんなものなのか。でも、ズリーの運気は今、上昇しているかもな。【1K】にはすんなり上がれるし、欲しいレイピアは宝箱から手に入ったし、更に【レイピア】のスキル本もたくさん見つけられたし...。


 確かに、今まで苦労したもんな。でも...ここまで腐らずに頑張ってきたことが認められたのだろう。

 

 さあ、そうとなればランクアップだな。マゼール頼んだぞ!【錬金術】と【レイピア】の2つのスキルを上げてくれ!



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「マゼール、2つのスキルのランクアップを!」と俺はマゼールに頼んだ。


『了解です!さあ、ズリーさん!【レイピア】のスキル本を混ぜますよ!』と、いつもよりテンションの高いマゼールがズリーに声をかけた。マゼールは【混ぜるな危険!】を使う時は、いつもこんな感じだ。


 ズリーは以前、【1K】でランクアップをしたことがある。今回は緊張よりも期待の方が大きのだろう。「どうぞよろしくお願いします!」と、元気に返事をした。


 マゼールは『了解です!混ぜ混ぜしちゃいますよ~!危険ですよ~!』と、嬉しそうに答えた。


 スキルを混ぜる時のマゼールの声色は可愛い。こちらまでほっこりとするし、ワクワクもする。


 そんなマゼールの声色が消えた次の瞬間、更に元気のいいマゼールの声が、俺たちの脳内に響いた。


『EXスキル、【混ぜるな危険!】の効果によって、【レイピア】ランクDのスキル本10冊を混ぜあわせ、ランクCの【レイピアの使い手】になりました!』



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「「おおー!」」


「凄いじゃないズリー、【レイピアの使い手】なんて!いきなりレイピアの熟練者同等の腕前、いえそれ以上になっちゃったのよ!」と、ゼファーが自分のことのように喜んでいる。


「わ、私が【レイピアの使い手】になれるなんて」と呟いたズリーの手は、わなわなと震えている。


何年何十年と経験を重ねた者と、あっという間にレイピアの腕前が追いつき、追い越してしまうのが、このスキル本の凄さであり恐ろしさ。


「マゼール様、ありがとうございます。スキル本の力に頼りすぎることなく、日々精進します」と言った後ズリーは、空中の色々な場所に向かってお辞儀を始めた。


 本人は、いたって真面目に行っている様だ。笑いそうになるが、堪えよう。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 Lv.38 デニット・バロット 45歳 人族

 

 HP : 405

 MP : 157

 STR(筋力) : 114

 DFT(防御力): 115

 INT(賢さ)  : 89

 AGI(素早さ) : 185

 LUK(運)  : 120


 取得スキル

 EXスキル(1/1) 

 混ぜるな危険! 

 

 EX波及スキル(1/15) 

 高度先端医療(B)

 雷炎氷刃士(C) 

 

 取得スキル(0/3)


 武器:愛用のダガー

 防具:タバード(赤)

    ズボン(黒)

    ブーツ

   


 Lv.63 レバルド 60歳 人族

 

HP : 784

 MP : 193

 STR(筋力) : 395

 DFT(防御力): 386

 INT(賢さ)  : 72

 AGI(素早さ) : 172

 LUK(運)  : 92


 取得スキル(0/3)

 譲渡(D)(マゼールとの会話可能)

 破壊なき防壁(C)


 武器:リジェネレーション・シールド

 防具:タバード(黒)

    ズボン(黒)

    ブーツ

    マイマイショルダー



 Lv.25 ゼファ― 21歳 エルフ族  

HP : 224

 MP : 269

 STR(筋力) : 62

 DFT(防御力): 57

 INT(賢さ)  : 98

 AGI(素早さ) : 96

 LUK(運)  : 60


 取得スキル(0/3)

 譲渡(D)(マゼールとの会話可能)

 無限流氷地(C)


 武器:ゾルスの弓

 防具:タバード(白)

    サーコート(緑)

    ズボン(黒)

    ブーツ



 Lv.16 バリー 16歳 半魔

 HP : 232(172)

 MP : 81(68)

 STR(筋力) : 202(165)

 DFT(防御力): 174(155)

 INT(賢さ)  : 24 (22)

 AGI(素早さ) : 28 (23)

 LUK(運)  : 25 (22)

( )内は川沿いダンジョンに入る前の、レベル8の時点の数値


 取得スキル(0/3)

 譲渡(D)(マゼールとの会話可能)

 魔物の顔見知り(C)


 武器:ウォー・ハンマー

 防具:タバード(黒)

    チェーンメイル

    ズボン(黒)

    ブーツ

    マイマイショルダー



 Lv.14 ズリー 18歳 人族  

 HP : 119(55)

 MP : 122(88)

 STR(筋力) : 41(22)

 DFT(防御力): 31(21)

 INT(賢さ)  : 78(64)

 AGI(素早さ) : 46(32)

 LUK(運)  : 38(26)

( )内は川沿いダンジョンに入る前の、レベル8の時点の数値


 取得スキル(0/3)

 譲渡(D)(マゼールとの会話可能)

 1K(C)

 レイピアの使い手(C)


 武器: 双剣型レイピア

     風きりのナイフ

 防具: タバード(白)

    サーコート(緑)

    姫騎士の胸当て

    ズボン(黒)

    ブーツ

    姫騎士のフェイスシールド



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ズリーのランクアップに続いて、待望の【錬金術】の作成も終わらせた。


【錬金術】スキルが完成したことにより、レバルドの腕の復活がより現実的なものに変わった。あと2冊でレバルドと、マルタイ奴隷商会のモッカの欠損した腕の治療が可能だ。


 ただ、この川沿いのダンジョンにも集まりづらいスキル本がある様で、【再生】は他のスキル本に比べて出にくいようだ。【薬草学】などに比べて出る確率が大幅に低い。


【再生】スキルを集めたいなら、ここで探すよりも、ベリーベリー村の近くのダンジョンで集める方が、効率的に集められそうだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 そんなことを考えていると、マゼールから今後の方針を提案された。


『お疲れ様です皆さん。もうひと踏ん張りです!皆さんの力を合わせ、10階の中ボス戦に挑みましょう!ここのボスを倒すと非常にレアなスキル本が得られるようです。それはなんと...』と言ったところで、リバーオークが「ウギャー」という雄叫びをあげながら、大きな斧を俺めがけて振りおろして来た。


 くっそ!せっかくいい所で...。


 デニットは使い慣れたダガーをしっかりと握り直し、オークに立ち向かった。



 第二章 完



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 第二章終了です。途中のような感じですが、次の章から物語が大きな展開を迎えるため、一度話を切りました。


 このまま、第三章の作成に取り掛かりたいと思っております。


 是非、よろしかったら♡や★などで応援して下さい。第三章を書く励みになります。


 では引き続き、第三章でお会いしましょう。

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