第125話 赤いゴーレム

オルビスとレン達が魔の森を進んでいると徐々にアンデットと呪いビトが出てくる。

アンデットと呪いビトを見た瞬間、レンが神聖魔法で次々に打ち倒していく。

しかし、倒しても倒しても次々に襲いかかってくる。

数も減るどころか徐々に増えてきていた。


「どんだけいるんだよ。キリがないな。オルビスさん、アンデットや呪いビトを簡単に倒せるような、何か面白い魔道具でも無いですか」

「面白い魔道具か、少し早いがこいつらを使うか」


オルビスの周囲に五つの魔法陣が光を放つ。

その中から5体のゴーレムが現れた。

高さ2mほど。

色は全身真っ赤だ。

斧を片手に持っている。

目は単眼では無く、3つある。


「これは・まさか赤い〇〇ですか」

「なんの話かな、目が3つあるから違うだろう。こいつが俺の自慢。自立式戦闘ゴーレムの最新バージョンだ。アンデットと呪いビトを殲滅しろ」


呪いビトの一体が赤いゴーレムに襲いかかるが、斧を一振りで真っ二つになり消滅した。


「え〜、斧一振りで消滅ですか」

「こいつの良いところは、相手により武器を変えることができることだな」

「複数の武器が使えると言うことですね」

「こいつらには異空間に専用武器庫を持たせている。そこから相手に合わせた武器を取り出して使うことができる。体内にもいくつか武器を仕込んであるけどな」


オルビスの指示を受けた赤いゴーレムたちは、一斉にアンテッドと呪いビトを狩り始める。

赤いゴーレムが振るう斧は、刃先が白い光を纏い唸りを上げてアンデットと呪いビトを葬っていく。

一振りで数体を葬っている。


「あの斧にはどんな武器なんですか。斧の刃の部分が白く光ってますよ」

「神聖魔法の魔法陣を組み込んである」

「神聖魔法の魔法陣なんてあるんですか」

「俺が作った。最初かなり苦労したがどうにかできた。レンや教皇のように強力な神聖魔法は使えないが、Lv4の白炎ぐらいまでなら使えるだろう」

「作ったなんて、普通は作れませんよ」


レンとオルビスがのんびりと話しているところで、赤いゴーレムたちが無双状態となり次々とアンデットと呪いビトを消し去っていく。


「レンもスキルでゴーレムが作れるだろう」

「精霊たちの協力がないと精密な動きはできないですよ。それにここまでカッコよくないです」

「そこは要訓練だろう。スキルですぐに作り出せるのは有利だよ。俺はそんなこと出来なから、普段から研究して作って用意していくしかない」

「ところで、なんで目が3つあるんですか」

「あれか、あれはそれぞれ違うセンサーを組み込んでいる」

「ひとつひとつ違うのですか」

「魔力を測るセンサー、人間と魔物やアンデットなどを識別するセンサー、周辺のすべてのものを立体的に捉える3Dセンサーだな。あとは目以外の部分にも補助的センサーを複数備えていることで、速やかな戦闘と行動を可能にさせている」

「いやいや、自立戦闘なんてそれだけでできませんよ。集めた情報を元に動かす頭脳が必要ですよ。この世界にコンピューターはないですよ」

「その代わりになるモノがあるだろう」

「代わりになるもの?」

「錬金術・魔法陣さ。俺が長い時間をかけ、そこから研究の末生み出した人工生命の技術だよ。このゴーレムにはホムンクルスの技術も一部組み込んである」

「どれだけこの世界で技術革新するつもりですか」

「この技術はこの世界には広めるつもりは無いよ。そもそもこの世界の人は理解できないから、その内悪魔の手先とでも罵られるのがオチさ」

「異端者扱いが良いところ。下手をしたら殺されますね」

「その通りさ。だから異空間に屋敷があるのさ」

「確かにそうですね」

「レンもスキルで豊穣の恵みを振り撒き過ぎると危うくなるぞ。気をつけろ。どんなに使徒と崇められても人はすぐに心変わりする」

「わかってますよ。そうなったら全てを捨てて精霊の森にでも移り住みますよ」


水の大精霊ウィン、土の大精霊ノーム、フェニックスのラーは、赤いゴーレムが撃ち漏らしたものを倒していく。

結果、レンとオルビスのところにたどり着くアンデットと呪いビトはいなかった。

やがて、迷宮・死者の塔が見えてきた。

高さ20mほどの灰色の石塔。


「あれが迷宮・死者の塔」

「灰色の石塔の部分は何にも無い。本当の迷宮は地下に広がっている」

「問題の場所は地下50階層ですよね」

「そうだ。普段は閉鎖状態にしてあるが、本当なら所々に異空間から入れるように扉があるが、今回は各階層の異常を確認しながら降りる必要があるから1階層ごと確認しながら降りる。万が一敵の分身を見落とす事態となれば大事件になる」

「グラーキの分身が他の階層にいる可能性もありますから仕方ないでしょう」


目の前にある20段ほどの石段を昇ると、灰色の石塔の一階部分に大きな扉があり、その扉が開かれている。

高さ5mはありそうだ。

その開かれた扉からは魔素が流れ出て、魔の森に広がっていく。

一行はそのまま中に入っていく。

ゴーレムたちは配置を変え、最前列に3体。

最後列に2体。

それぞれ異空間倉庫から大きな盾を取り出し、左手で盾を構える。

1階層では外と同じくアンデットと呪いビトがいる。

赤いゴーレムの敵では無く次々に消滅させられていく。

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