第115話 大錬金術師オルガ

レンは目の前にいる魔導錬金工房オルビスの店主を神眼で見ていた。


氏 名:オルガ

年 齢:217歳

種 族:ヒューマン

職 業:暗殺者、大錬金術師、賢者

状 態:良好

スキル:不老

    全魔法特性

    (火・水・氷・風・土・光・闇・空)

    錬金術Lv10

    隠蔽Lv8

    認識阻害Lv7

    隠密Lv9

    暗殺術Lv 10

    鑑定Lv8

    身体強化Lv7

    全状態異常耐性

    正義の秤

    魔力超回復

    並列思考

    全言語読解翻訳

称 号:義賊

    裁定者(理と秩序の番人)

    弱者達の守護者

    錬金術マスター

    迷い人(異世界人)

特記事項:

   ・200年前に異世界より次元の裂け目

   に落ちてこの世界に迷い込む。

   ・暗殺の刃は、悪き者達に振るわれる。

   

レンは絶句していた。

目の間にいる人物の凄さに驚いていた。


「俺を鑑定したのかな、鑑定は違うか。俺が君を鑑定することができないから、おそらく天眼以上のスキルがあるのだろうね。そうなると必然的に神の愛子か使徒クラスとなるか」

「200年前と言いましたけど」

「スキルを見たのだろう。この世界に来た時に得たスキルの一つが不老のスキル。おかげで普段は20歳の頃のままだよ。だから必然的に友人は長生きのエルフやドワーフになるのさ」

「他に迷い人や転生者はいなかったのですか」

「俺がこの世界に来てから君が初めてだね」


レンは言いようのない戸惑った表情をしていた。


「200年・・孤独ではなかったのですか」

「そんな表情はしないでくれ。人付き合いは苦手な方だから、ほどほどに知り合いのエルフやドワーフと会う程度で十分さ。その分、探究心が優って楽しく過ごしているよ。おかげで想像もしないようなスキルや・・おそらく見えただろう称号もいくつも得てしまったよ」

「いつの日本から来たのですか」

「西暦でいえば2008年の日本だね」

「僕は2024年の日本です」

「大して離れていないな」

「それだけの錬金術があれば、かなり多くのものを生み出して、この世界を変えることができたのではないですか」

「いきなりとんでもないものをじゃんじゃん送り出せは、この世界がおかしくなる。少しだけでも反動がすごくて苦労しんだぜ。強欲なもの達が続々と押し寄せてきたから、片っ端から返り討ちにしてやったけどそのあとが困ったから、必然的に異空間に屋敷を構えたのさ。僕の屋敷がある異空間の屋敷は、日本並みに超便利グッズの宝庫だぜ」

「異空間に屋敷ですか」

「今度招待してやるよ」

「いくつか聞きたいのですが」

「なんでも聞いてくれ」

「スキルLv8を超えるものがいくつもあります。錬金術に至ってはLv10。本来、制限がかかっているはずなのになぜです」

「それは、俺が迷い人だからさ」

「迷い人だからですか」

「転生者はこの世界の理に縛られる。迷い人は元々この世界の人では無いからこの世界の理の外にいる存在だからさ。そのため、勇者召喚なんて危険な真似はさせない訳にいかない」

「勇者召喚・・させないとは」

「勇者召喚は、この世界の理を外れた存在だからとんでもない力を発揮するのさ。そんな真似をポンポンされたらこの世界の秩序が崩壊する。だから、俺がさせない」

「させない?」

「たまたま、この世界の主祭神アーテル様の下にいる理と秩序の神レイアと知り合ったら裁定者にされてしまった」

「裁定者とは」

「簡単に言ってしまえば、閻魔様みたいな役目だ。この世界に迷い込んだ時、自分たちの欲望のために勇者召喚をやろうとした国があった。そこで理と秩序の神レイアの依頼を受けて勇者召喚を防いだのさ。勇者召喚をやろうとしていた連中は、とんでもない奴らばかりで救いようがなかったからしっかりと裁いてやったよ」

「裁いたのですか」

「スキルで見たら救いようのない極悪人だな」

「怖いですね・・・」

「レン君はそんなことにならないよ。そうなる前に精霊達から強烈な戒めが来るだろうからね」

「ハハハハ・・確かに・・」


レンは思わず乾いた笑い声を上げた。


「日本人同士。もっと話したいが先に要件を片付けようか、俺を呼んだ要件は何かな」

「冷蔵庫を売り出し始めたのですが、冷蔵庫の心臓部である魔法陣が間に合わないので製作を依頼したいと思いまして」

「あ〜あの冷蔵庫ね。いいよ。魔法陣の解析は終わっているからすぐに作れるよ」

「え〜、解析が終わっている」

「積層形魔法陣に日本語を織り交ぜて成立させるなんてすごいぜ。俺じゃなきゃ意味がわからなかっただろうな。日本語を混ぜて魔法陣を成立させるなんてどんな変人だと思ってきたら、こんな可愛い子供だったのが一番驚いたよ」

「あれを解析してんですか、さすが大錬金術師ですね」


レン自慢の魔法陣であったが、あっさりと解析されて少々悔しさを見せるレン。


「あの魔法陣の解析は、俺以外にはできないから心配しなくてもいいよ。他の錬金術師は見ても意味がわからんよ。特に日本語が混じっていれば尚更さ。そうでなければ大錬金術師にはなれんよ」


レンとオルガの話し合いは深夜遅くまで続くのであった。

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