第84話 新人王戦決勝
帝龍祭新人王戦決勝。
相手は、セルディア学園の1年生。
「レオン・オルグレンです。氷結の魔王さん。よろしくお願いします」
白銀の髪をしたレンより少し背の高い少年がレンの二つ名を口にする。
レンは祖母から氷結の魔王の二つ名を広めた狙いを聞かされ渋々受け入れていた。
氷結の魔王を広めれば、スキル木に関して誤魔化せる可能性が強い。
今のままならスキル木について広まるのは時間の問題。
あらゆる植物を生み出し、金属に劣らぬ素材を自由に生み出す。
そのスキル目当てに、付け狙われることになることを防ぐ意味もあると聞かされて、渋々受け入れていたのであった。
「レン・ウィンダーです。氷結の魔王は人が勝手に言っていることですから」
「準決勝で使った氷の幻惑魔法は素晴らしいですね。でも、僕が破って見せますよ」
「ハハハ・・セルディア学園は魔法の研究が盛んだと聞いていますから楽しみですね。お手柔にお願いしますよ」
双方の生徒がスタート位置に揃うと試合開始となり、特殊フィールドに転移させれた。
いつも通りに小高い丘の上には帝都学園の旗が立っている。
「レン様。今回はどのようにいたしますか、セルディア学園は魔法の研究が盛んな学園ですから、魔法を中心とした攻撃を仕掛けてくると思います。今回のキャプテンとなっているレオンはかなりできる相手と言われていますから油断は禁物かと」
「ロー。セルディア学園は近接戦闘でゴリ押しはしてこないが、かなり厳しい戦いにはなると思うから、準決勝と同じ攻撃陣と支援・守備で行こう」
「承知しました」
試合開始の合図とともにレンとカレンは一気に走り始めた。
レンは探知魔法を使用する。
「何、探知魔法の反応がおかしい」
「レン。おかしいって何」
「敵の反応が100個ある」
「100・・・」
レンの探知魔法に敵チームの反応は、100個出ていた。
レンはスキル木で木刀を作り出し、カレンは木剣を手にして慎重に森に入る。
敵の反応が近くなって来た。
目の前にいたのは身長2mのロックゴーレムであった。
「ロックゴーレム。チッ・・召喚魔法か」
ロックゴーレムが襲いかかってきた。
ロックゴーレムのパンチをかわすとそのパンチは大木をへし折った。
「うわ、やばっ・1発の威力が半端ないぞ。1発もらった動けなくなるぞ」
レンは身体強化のレベルを上げ木刀に魔力を流し込む。
木刀が薄らと白い光を纏う。
その木刀でロックゴーレムを次々に打ち砕いて進む。
砕いたはずのゴーレムが再び再生されて襲いかかってくる。
「あ〜めんどくさい。キリがない。やはりこれが効率いいよね。カレン後ろに下がれ」
カレンは慌てて後方に下がった。
水魔法の発動準備をする。
「水魔法ツナミ」
その呟きと同時に高さ10mのツナミが前方九十度の角度で放射状に放たれる。
高さ10mであるが威力を上げるため魔力を多く注ぎ込んでいた。
前にいるロックゴーレムと大木を根こそぎ押し流していく。
ツナミの暴力的なまでの威力に対して踏ん張るロックゴーレムも大木も、そんなものをものともせずに押し流していく。
レンの目の前には敵チームの旗までの道が出来上がっていた。
「相変わらずとんでもない威力」
カレンが少し呆れ気味に呟く。
「さて急ごう」
その時、ファイヤーランスが大量に飛んできた。
レンは素早く氷壁を張る。
ファイヤーランスと氷壁がぶち当たると細かい氷の粒が大量に舞い上がる。
その瞬間、炎の巨大柱が降り注いだ。
氷という氷を全て蒸発させる。
「氷の幻惑魔法を使って一気に旗まで行こうというつもりだろうが、そんな真似はさせないよ」
「レオン。しつこく追いかける男は嫌われるぜ」
「それはこの場合、勲章だと思って聞いておこうかな」
「それはなかなかいい心がけだ」
レンは身体強を上げ一気に接近するが、レオンはレンの前に炎の壁を作り、一瞬のうちに距離を取る。
「近接戦闘をされたら、こちらに勝ち目はないから遠慮させてもらうよ」
レンの足元から炎が吹き上がる。
「クッ・・」
大きく飛び退くレン。
レオンの周辺に魔法陣が光る。
魔法陣から続々とロックゴーレムが出てくる。
「炎と召喚魔法かよ」
「レパートリーはレン君よりは少ないと思いますよ」
「それはどうも」
「ここらでいいかげん負けてください」
ロックゴーレムたちがレンに襲いかかる。
レンにロックゴーレムの手が届く瞬間、全てのロックゴーレムが一瞬で真っ二つになった。
同時にレオンにも致命傷となる攻撃が加わりフールド外へ転送となった。
転送で消えていくレオン。
「馬鹿な・・・」
「とっておきの水魔法ウォーターレーザーを使わせたことは褒めてやるよ」
「ウォーターレーザー???」
レオンはフィールド外に完全に転送され負けとなった。
「カレン。旗を撮りに行こうか」
「了解。ほんとダーリンは規格外や」
カレンは嬉しそうに返事をして旗を地に向かう。
レオンが負けたことで、レンとカレンを止められるものはおらず、帝都学園が旗を奪取して帝都学園の勝利と新人王戦優勝が決まった。
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