第78話 帝龍祭開催
いま目の前では、帝龍祭開催のための式典が行われていた。
壇上ではなぜか皇帝陛下と聖女様がいる。
例年であれば陛下と聖女は来ないはずだがなぜか今年は来ていた。
フレッド皇帝陛下は会場をゆっくりと見渡していく。
なぜかフレッド陛下と目があってニッコリと微笑んだように見える。
挨拶の話は、皇帝陛下、アリシア学園長と続き、あまりにも長い話に立ったまま寝ている生徒もいる。
なかなか器用な生徒だ。
会場に集まっている帝国領内の学園が8校集まっている。
帝都学園・・・・正式名称:アラステア帝国領帝都アレス総合育成教育学園
(通称:帝都学園)
騎士学園・・・・正式名称:アラステア帝国騎士育成学園
総合学園・・・・正式名称:ユーラシアン総合学園(西部辺境伯領)
東部学園・・・・正式名称:セルディア学園 (東部辺境伯領)
戦士学園・・・・正式名称:ガルディス戦士学園 (北部辺境伯領)
南部学園・・・・正式名称:バルビナス学園 (南部辺境伯領)
傘下の帝国領の国から2校
ロキシー学園・・・小国ロキシー王国の学園
セレン学園・・・・小国セレン公国の学園
大会直前に我々帝都学園の対戦相手バルビナス学園の新人王戦参加者が、総入れ替えとなるハプニングがあった。
20人が全員体調不良になったためと言われている。
20人が同時に体調不良なんてあり得るのかと思うが、きっと裏で何かあったんだと思うが、そのように公式発表がなされた以上は詮索することはできない。
開催式典が終わるとさっそく新人王戦が開催されることになった。
新人王戦第一試合となる帝都学園とバルビナス学園の試合が開催される。
大会執行員達による準備が手早く行われていく。
魔法と錬金術で作られた特殊フィールドが作り上げられていった。
特殊フィールドの中での戦いは、会場に設置された魔導モニターで見られるようになっている。
双方それぞれ15人の生徒が揃って挨拶をして、双方の大将が握手をする。
帝都学園はレンが大将であり、バルビナス学園の大将はクリフという生徒だ。
レンにバルビナス学園の大将クリフが声をかけてきた。
「急にメンバー総入れ替えになってしまって参りましたよ」
「急に補欠も含めてメンバー総入れ替えになりましたけど何かあったんですか」
「ここだけの話なんだけど、どうやら先発メンバー20人が帝都の街中で水の精霊様を怒らせたらしくて、気を失うまで水の牢獄に閉じ込められたそうなんだ」
「えっ、水の精霊ですか」
水の精霊と聞いて、この一件にはきっと水の大精霊ウィンが関わっているに違いないと確信するレンであった。
帰ったら聞いてみる必要があると思うのであった。
「帝都の住民の方が見ていたそうなんですが、悪さをしていたところ急に水球が現れて、20人が水球に閉じ込められたそうなんです。元々力と才能はあるが素行の悪い連中だったんですよ」
「それは大変でしたね。その20人はどうなったんですか」
「バルビナス辺境伯様の怒りにより学園に戻され、かなり厳しい奉仕活動に従事させられることになるみたいなんですよ」
「水の精霊の怒りですか」
「僕らは準備不足なんですが、帝都学園の胸を借りるつもりで精一杯戦わせていただきます」
クリフとレンは挨拶を終えると指定された待機場所に移動した。
時間になると双方15人。
合わせて30人が魔法と錬金術で作られた特殊フィールドに集団転移した。
レン達15人は小高い丘の上にいた。
その前には高さ2mほどの旗が立っていた。
勝利の条件は、
①自軍の旗を守りながら敵の旗を奪い取る。
②敵を制限時間内に全滅させる。
敗北と判定されたものは自動的にフィールド外に転移させられる。
③双方旗を奪い取れない。相手を倒しきれない場合。
制限時間終了時にフィールド内に生き残っていた人数の多い方の勝利。
制限時間は2時間。
周囲は深い森となっている。
レンはいくつかの作戦を考えていた。作戦というよりはフォーメーションといった方がいい。
一つ目がオーソドックスな戦い。
オフェンスを五人。
ディフェンスを五人。
オフェンス陣とディフェンス陣の中間に配置して接近してくる敵を倒し、状況によってオフェンス陣に加わるミッドフィルダーに五人。
この場合、レンがどこに加わるかで攻守のレベルを変えることができる、使い勝手のいいフォーメーションだ。
二つ目が超攻撃的布陣。
旗の守りはレン一人で、氷の氷壁を使い守り抜く。
残りは全てオフェンス陣にする。
オフェンス陣が全滅しない限り勝つ自信はある。
まず、氷壁を破れる生徒はいないだろう。
1時時間ぐらいなら魔力も十分に保つから大丈夫だと考えていた。
三つ目は二つ目の逆。
オフェンス陣はレン一人。
他は全て旗の守りにして、レンが倒されたらディフェンス陣からオフェンスを出す。
レンはほとんどの試合は、一つ目のオーソドックスなフォーメーションを使い、レンの入る位置を変えることで、戦術の調整をしていこうと考えていた。
もしも他に使うとしたら二つ目のフォーメーションだと考えていた。
今回は当然一つ目のフォーメーションを使いつもりで準備に入る。
あとは開始の合図を待つだけとなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます