第67話 迷宮探索開始
学園内にある迷宮にいよいよ入って行く事になる。
岩山に開いた洞窟のような入り口に入っていく。
入った瞬間、景色が草原になっていた。
青い空、緑の草原、遠くには森と山々が見えている。
「驚いたでしょ。ここは広域型の迷宮で1層だけなんだけど、出入り口周辺から奥に向かうに従って迷宮のレベルが高くなっていくの。それでも初級型と言われているからせいぜいレベル10までの魔物しかいないのよ」
細身の長剣を腰に差して銀色のポニーテールを風に揺らしならがジェマ・バジェット先輩が声をかけてきた。
閉ざされた空間の中に風が吹いていることも不思議だった。
「異空間にこんな広大な場所があるなんて不思議ですね」
「レン君。チョコレートはどうにかならんかな」
「先輩。そんなにチョコレートがお好きなら、あとで使用人に届けさせますよ」
「やった〜、話が分かるじゃない」
ジェマ先輩が思いっきりハグしてきた。
背が低いレンは、先輩の胸で思いっきり締め付けられてしまった。
「ジェマ先輩。何をしてるんですか!!!」
シャーロットが顔を真っ赤に怒って割り込んできた。
「レン。婚約者を差し置いて何をやっているのですか」
「えっ・・これは不可抗力と・・」
「言い訳無用です。半径1m以内に私以外の女性を近づけないようにしてください」
「そ・そんなことを言われましても・・」
「婚約者を蔑ろにすると言われるのですか」
「そんなことはないです。努力いたします・・・」
「罰として、週末は私のお買い物に付き合ってください」
「えっ!」
「不満なのですか」
「よ・喜んでお供しますよ」
レンは少し顔を引き攣らせて笑顔で承諾した。
シャーロットの買い物はとても時間がかかり大変なのだ。
レンは週末に関しては覚悟する事にした。
「はい、全員集合!」
担任のルミナス先生が集合をかけたので、ルミナス先生のところに全員が集まる。
「これからこの迷宮でスライムを倒してもらいます」
「スライム」
「そうです。このクラスの生徒の中には、魔物を倒した経験がある人もいるでしょうが、ここの大半の生徒は魔物を倒した経験がありません。今日は魔物の中で最弱でもあるスライムを倒し魔物を倒す経験を積んでください」
基本的に人間の住む地域に滅多に魔物はいない。
戦闘訓練にこだわる親でなければ、そうそう戦う事はないだろう。
「レン君はすでに冒険者登録もしていてCランクの冒険者ですから、スライム討伐はしなくてもいいですから周辺の警戒を願いします」
「「「「「「C級冒険者!!!!!!」」」」」」
全員が驚いた表情でレンの方を向く。
そう言えばクラスメート達には話してなかったことを思い出していた。
「レン様。冒険者であることは聞いていましたが、もうC級なのですか」
「リオンさん。色々あって魔物を狩り過ぎまして、ギルド本部から特例で問答無用でC級にさせられてしまいました」
「普通、レン様の年齢であればFランク。よくてEランクですよ。ワイバーンでも狩りましたか」
「・・・・・」
「まさか、本当にワイバーンを・・・」
「ハハハハ・・・つい倒しちゃいました」
レンは乾いた笑い声で釈明していた。
リオンは冗談でワイバーンと言ったが、まさか本当のこととは思わなかった。
「ハァ〜!レン様。ワイバーンは、ついでに倒せるものではありませんよ。普通なら最低でもCランク冒険者5人以上は必要なのですよ。そもそも、レン様はウィンダー侯爵家当主です。万が一のことがあったらどうするのです」
「こうして無事ですし」
「ロー、サラ」
「「はい!」」
「2人は学園にいる間はレン様から絶対に目を離すな」
「「分かりました」」
「レン様の護衛に関して、ハワード様とルナ様に相談する必要があります。授業が終わりましたら私も加わってご相談させていただきます」
「ハハハ・・・すいません」
レンは、冒険者ライセンスを見せた。
そこにははっきりとC級と書かれていた。
C級からはライセンスカードの材料が変わり、銀で作られている。
ちなみにS・A級は白銀色のミスリル製。B級は金。
銀製のライセンスカードに全員が驚いている。
「本当にCランクのライセンスカードだ」
「初めて見た」
「どれだけ魔物を倒したんだよ」
「Cランクという事はどれだけの強さなんだ」
「Cランク冒険者ということはかなりの強さだよ」
「そうそう。Cランクから本当の冒険者の仲間入りと言われているそうだよ」
「レン君のライセンスのことはあとでも聞けます。手分けしてスライムを倒しなさい」
担任のルミナス先生からの指示で、クラスメート達が周辺に散ってスライムを探し始めた。
探すと言っても、ここにはたくさんいてすぐに見つかる。
しかし、スライムは最弱ではあるが慣れないと簡単には討伐できない。
中心にある核を破壊しないと倒すことはできない。
スライムの核は動き回るためなかなか一撃で倒すことは難しいため、みんな悪戦苦闘している。
「レン。うまくいかないのよ。どうすればいいの」
シャーロットがレンにコツがないか聞いてきた。
「核をよく見て、一気に切り裂けばいいだけですよ」
レンがショートソードを抜いて構える。
レンがショートソードを一閃。
「こんなふうに‘’上段に構えてダァ〜と力一杯振り下ろす‘’これで大丈夫ですよ。簡単でしょ」
一瞬でスライムの核が切り裂かれ、スライムが小さな魔石を残して消滅していく。
周辺にいたクラスメイトはレンの剣術の鋭さに驚きの声をあげる。
「レン様。レン様の剣さばきは凄すぎて、参考にできません」
リオンは思わずそう言わざるおえないほど、レンの剣筋は凄すぎたのだ。
レンの持っているスキル剣聖はすでにMAXになっていて、レンはすでに剣術の達人である。
達人の動きを一般人が参考にできるはず無く、レンの強さだけが際立つのであった。
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