第19話 ユグドラシル乱入

精霊の湖のほとりでレンはいつも通り時空魔法を使いながら,日課となった魔力操作の練習をしている。

収納魔法には限界までスキル【木】で作り出したものを収納。

通常の木に見えるレベルの物を大量に作り出していく。

椅子,テーブル,家具,木剣などを作り出している。

収納しきれないものは【ルーム】を使いルームにも入れて,収納魔法とルームのLvアップを行っている。

お陰でどちらもLv3にまでなり,中の時間経過は外の半分になっている。

現在,収納魔法は200m四方の容量がある。

ルームは500m四方になっている。

収納魔法はLv5でMAXとなり容量無制限。時間経過停止となる。

ルームもLv5でMAXとなり広さは1km四方。時間経過停止まで出来るようになる。

つまりルームLv5になると経過時間は自由に変更できるのだ。

収納魔法とルームが共にMAXとなると転移魔法が解禁される。

今行っている水魔法による魔力操作は,ルナに教えられた通り水球を魚や動物の姿に変えて,自分の周囲を周回させるやり方である。

レンは,その魚や動物たちをより緻密な姿で,より自然な動きをするように心がけている。

訓練を始めた時は魚は魚の形をした水の塊であったが,今は目があり,口があり,えら・鱗・背ビレ・胸ビレ・尾ビレと細かく表現できるようになっていた。

鳥は,目・嘴・翼・足と作り,表面を覆う羽根を細かく作り上げるほどになっている。

それらが自然な動きをしながらレンの周りを回っていた。

さらに地上のの動物を加え始めている。

ホワイトタイガーを作り上げて周回する列に加えていた。

ホワイトタイガーではあるが流石に色まではできないため,少し水の濃淡を作るようにしているため、ブルータイガーと言った方が良いのかもしれない。

その水の造形作品とでも言うべき物に新たなものが加わっている。

水の大精霊ウィンと風と森の大精霊シルフィーの姿を水で作り上げて空中に浮かべていた。

そして水の動物達と共にレンの周りを回っている。

その様子をウィンとシルフィーが物珍しそうに見ている。


『ヘェ〜・あんな事できるんだ』


シルフィーが驚きの声を上げた。


『凄いだろう。レンは努力家なんだよ』

『あれ程のことができるなら魔力操作は相当なLvになるよ』


そんなことを話しているウィンとシルフィーの話しが聞こえないほどに集中して魔力操作を続けていた。

突然,集中していたレンが後ろから抱きしめられた。


『うわぁ〜』


レンが驚いて集中力が切れてしまい水の造形作品が一瞬で崩れて消えてしまう。


『いい香り・・・』

『誰だよ・・君は誰』


レンの問いかけに答えずにレンの匂いを嗅いでいる。

レンが動けないほどの力でしっかりと掴まれている。

そんなレンを見たウィンとシルフィーは大笑いしていた。


『ウィン。笑ってないでどうにかしてよ』

『レン。そいつも精霊だよ。ユグドラシルという精霊』

『ユ・・ユグドラシル・・もしかして世界樹・・』


するとレンを後ろから抱きしめていた少女がレンの頭を撫でる。


『正解・・偉い偉い・・良い子良い子』

『ちょっと,お子様扱いは止めてよ』

『私たちより年下・・問題無い』

『僕は人間だよ。大精霊より年下に決まってるでしょ・そろそろ離して』

『人間なの???』

『なぜ,そこで疑問に思うの・・人間ですよ,人間』

『アーテル様の香りがする。人間ならアーテル様の香りはしない』

『人外みたいに言わないで,僕は人間,人間ですよ。ヒューマンだよ』

『違う・・違うと思う』


相変わらずウィンとシルフィーは大笑いしている。


『ユグ。そろそろ離してあげなさい』

『シルフィー姉様の頼みなら仕方ない』


ようやく解放された。


『お願いだから急に抱き付かないでよ』

『分かった。今度からは予告してからにする』

『いやいや,抱きつかないでよ』

『それは却下。それと,私をユグと呼ぶことを許してあげる』

『ユグドラシル様,僕に抱きつかないようにお願いします』

『ユグと呼んで』

『ユグ様,お願いですから・・・』

『ユグと呼んで』

『・・ユグ,僕に抱きつ・・・』

『良くできました。偉い偉い』


ユグドラシルの精霊に頭を撫でられるレン。


『クソ〜。エルフの血のせいだ〜』


体に流れるわずか数%のエルフの血が活性化して成長が遅いことに恨みを呟くレン。

ユグドラシルが突如,長さ10センチほどの楕円形の物体を3個手渡してきた。


『コレあげる』


茶色で白い線が数本入っていて,重さは軽い。


『コレは何』

『世界樹の種』

『ヘェ〜世界樹の種ね・・・えっ,世界樹の種!』

『そう,世界樹の種。好きなところに植えて』

『いやいやいや,これは受け取れないよ』

『レンにあげたものだから,返却は認めない』


笑っていたシルフィーが声をかけてきた。


『レン。貰ってあげてよ。人と話すことが苦手なユグがあんたにそれを渡すってことは,かなり気に入られたと言う事なんだよ』

『世界樹というとかなり大きく育つよね。目立ち過ぎるよ』

『レンが命じれば,普通の木と変わらない大きさで止まるから大丈夫』

『僕が命じれば?』

『そう!』

『コレもあげる』


今度は先ほどと同じ大きさと形のもので緑色をしている。

レンが受け取ると,それは淡い光を発しながらレンの中に吸い込まれていった。


『コレは何』

『世界樹の加護。あとは自分で調べて』


神眼で見るとスキル【木】の木製品製作が【Ⅶ】、木と森の恵みが【Ⅴ】となった。

これでミスリルの特性と強さと硬さを持つものが作り出せることになる。

既に木製品では無いと思うが,スキルがそうだからいいことにしておこう。

試しに木剣を作り出してみる。

ミスリル特有の白銀の輝きをする木剣が出来上がった。

ミスリルにしか見えないがよく見ると微かに木目が見える。

微かに木目があるから木剣でいいのか?



氏名:レン・ウィンダー

年齢:7歳

種族:ヒューマン(?)

職業:ウィンダー侯爵家当主

   神像職人

状態:良好

スキル:

  木 Lv7

    ・木製品製作 【Ⅶ】

    ・魔力吸収  【Ⅲ】(MAX)

    ・木と森の恵み【Ⅴ】

    ・ウッドゴーレム

    ・神像作成

    ・植物創造 (NEW)

  生活魔法

  身体強化Lv3

  魔力操作Lv5

  水魔法Lv 2

  氷魔法Lv 2

  風魔法Lv 1

レアスキル:

  神眼(隠蔽中)

  剣聖Lv4(隠蔽中)

  全魔法適正(隠蔽中)

  魔力回復量UP Lv4(隠蔽中)

  全状態異常耐性Lv3(隠蔽中)

  隠蔽Lv 3(隠蔽中)

  神聖魔法Lv2 (隠蔽中)

  時空魔法Lv3 (隠蔽中)

   収納魔法 Lv3

   ルーム  Lv3    

称号:

  慈母神アーテルの使徒

  ククノチの加護 

  木と森の精霊たちの寵愛

  地母神アーテルの神像職人

  水の大精霊ウィンの加護

  風と森の大精霊シルフィーの加護

  世界樹の精霊ユグドラシルの加護(NEW)

補足事項:(神眼保持者のみ閲覧可能)

  ※木製品製作 【Ⅶ】

   ミスリルの如き強さと硬さと特性を持つ

  ※木と森の恵み【Ⅴ】

   木や森に魔力を与え一時的に成長を促進。 

   成長力200%アップ。効果は5日のみ。

  ※植物創造

   働きや能力・効能・収穫物などを詳細に

   イメージすることで新しい植物を生み出

   すことができる

  

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