第15話 精霊の像
帝都からヨーク領の屋敷に戻ったレンは、今後の鍛錬のことを考えていた
暫くはスキルのLvアップをしていく必要がある。
今までは、スキル【木】以外はあまり力を入れていなかった。
帝都に来る時に襲われとことを考えたら早急に自分自身を強化していく必要がある。
誰もいないところで襲われたら、呆気ないほどあっさりとやられてしまう。
授かったばかりの時空魔法も強化していく必要がある。
時空魔法の強化をしながら,水の大精霊ウィンに頼まれたウィンの像を作ろう。
まず,時空魔法の中の収納とルームだ。
収納は異空間に物を収納しておける。最初は入れることができる量も少なく時間経過を変わらない。
収納Lv1では5m四方の立法体程度の収納力。
収納LvがLv2になれば派生スキルの【ルーム】が使えるようになる。
ルームはかなりいろんな制約の多いスキルではあるが異空間に自分の部屋を作れる。
自分自身と自分が許可した物であれば生物でも異空間に入れることができる。
Lv2からは徐々に収納もルームも時間経過を遅くできるようになっていく。
収納魔法は、Lv5でレベルMAXとなり、収納容量は無制限。経過時間は停止となる。
ルームは、Lv5でレベルMAXとなり、経過時間の流れは自由に設定できる。
ただし、広さに制限が付き、最大で1km四方の立方体までが限界。
その代わりに、1kmの範囲であれば分割して場所ごとに時の流れを変えることもできる。
考え方しだいで使い勝手の良さが変わることになるスキルだ。
最初はそれなりに魔力を消費していくが,なれてLvが上がれば魔力を効率良く使えるようにもなるし,同時に魔力回復スキルのLvも上がるから問題ない。
そうすれば、やがて時空魔法の派生スキルで転移魔法が解禁されることにもなる。
収納魔法のLvアップを目指して収納魔法で不用品を限界までしまい込み,スキル【木】を使いゆっくりと像を作り始める。
一度作ってしまうと次回からは早いのだが、ウィンの像は初めて作るからどうしても時間がかかってしまう。
青の湖で見た姿を思い出しながらゆっくりと作っていく。
2時間ほどかけて高さ30センチほどの像ができた。
穏やかに微笑む水の大精霊の像ができた。
早速神眼で確認する。
水の大精霊ウィンの像
製作者:
レン・ウィンダー
効果:
周囲に水の大精霊の加護が行き渡る。
補足事項:
像のある周辺は水の精霊が顕現しやすい。
大精霊ウィンが精霊魔法を発揮しやすくなる。
相変わらずのトンデモナイ像が出来上がりました。
とりあえず部屋の地母神アーテル様の神像の隣に飾る。
『よかった。さっそく作ってくれたんだね』
水の大精霊ウィンが部屋の中にいた。
『本当にどこでも来れるんだね』
『君の作ってくれた像がある周辺は特に楽に来れるんだよ。さすが神像職人いい仕事するじゃないか』
ウィンは嬉しそうに微笑んでいる。
『神像職人ですか・・・・・一言多いよ』
『それにどうやら時空魔法も無事に手に入れたようだね』
『知っていたの』
『時空魔法を封じ込めたものが残されていることは知っていたけど、それが何なのかまでは知らなかったんだよ。うん、よかったよかった。偉い偉い。お利口さんお利口さん』
水の大精霊ウィンはそう言って僕の頭を撫ぜる。
『ちょっと、子供扱いしないでよ』
『アハハハ・・反抗期ですね』
『一応正式な侯爵だよ』
『でも7歳で、背も低いね』
この年だと1m20センチほどあるらしいが、未だ1mほどの身長。
『クッ・・これから伸びるんだよ』
『若干だけどエルフの血も入っているんでしょ。エルフの成長はゆっくりだよ』
ウィンはチョット意地悪く笑う。
エルフの血が濃ければ濃いほど成長は遅いと言われている。
『エルフの血は僅かだから、大丈夫だよ・・大丈夫。これから一気に成長するのさ』
『フフフフ・・・その数%が大きいのさ。アーテル様の加護と僕の加護でその僅か数%のエルフの血が大活性化しているみたいだね』
『エッ・・・』
慌てて神眼で自分を確認する。
神眼保有者のみが見える補足事項にしっかり書いてる。
補足事項:
エルフの血筋の超大活性化
さらに【エルフの血筋の超大活性化】を見つめていたら、新しい項目が出てきた。
エルフの血筋の大活性化
・成長鈍化
肉体の成長速度がゆっくりとなる。
・不老化
普通の人より老化しにくくなる。
※エルフの血の濃さにより発揮される影響は変わる。
エルフの血で影響で成長鈍化があるのか、衝撃のあまり崩れ落ちそうになる。
『そんな!当分背が低いままなの・・伸びないのか』
『大丈夫。大丈夫。レンは可愛いから問題無い』
ウィンは再びレンの頭を撫でる。
『可愛い・可愛い』
『頭を撫でないでよ』
『そん事を気にするよりも、周囲に圧倒的な力を見せつけてやれば良いんだよ。そうすれば背が低いと馬鹿にする奴はいない』
『僕が気にするんだよ』
『隠蔽中の力を解除してしっかりと鍛え上げるべきだよ。10歳からの学園に通うときにその力をしっかりと示してやれば良いのさ』
『力を示すとかそんな偉そうなことをしたくないよ』
『いざという時に力を見せればいいのさ、普段からそんなことをする必要はないよ。そんなことを普段からしていたらレンの美徳である謙虚さが消えてしまうよ。そんなことになったら僕はガッカリしてしまう』
『自分の力を鍛えることはするつもりだよ。以前のようにいつ襲われるかわからないからね』
『水魔法と氷魔法なら僕が教えてあげるよ』
『ウィン。ありがとう。それにはまず練習場所の確保だ』
『目処はあるのかい』
『水魔法と氷魔法が少し使えるようになったら、お爺さまとお婆さまに庭で練習させてもらえるようにするよ。大規模魔法まではかなり先だからそのときに考えるよ』
『それならさっそくだ。空になった水入れがあるからその中に水を作り出そう』
部屋の隅にあるテーブルに空になった水入れがある。
レンはそこに近づいていき、水入れの蓋を開ける。
そういえば生活魔法も使ってなかった。
ひたすら【木】のスキルを鍛えていたため【木】のスキルはレベルが上がっているが、そのほかは襲われた時のせいでスキルレベルが上がったものだけだ。
『レン。イメージが大切なのは分かるよね。魔力操作はできているから魔力が水に変わることを想像してごらん』
『分かってる。簡単さ、任せてよ』
軽く自信たっぷりに返事をする。
レンは、呼吸を整えて水をイメージする。
手から水が落ちるイメージだな。
レンは、無意識に大きな滝をイメージしてしまった。
するとレンの手のひらからは、流れ落ちる大滝の大瀑布の如き水が噴き出してきた。
大瀑布の如き勢いで吹き出した水は部屋の中で暴れ回る。
「ウヮ〜〜〜!」
『レン。やり過ぎだ。止めて止めて』
レンは慌てて魔法の発動を止めた。
しかし、既に部屋の中は水浸し、さらに全て窓ガラスは破れて庭にまで水が吹き出して、庭を水浸しにしていた。
「やっちまった」
ウィンは呆れたようにレンを見つめる。
『分かってる・・誰の言葉かな?』
『僕です』
『簡単さ・・・・誰の言葉かな?』
『僕です』
『任せてよ・・・誰の言葉かな?』
『僕です』
『その結果は?』
『ご覧の有様で・・・』
水の大精霊ウィンは大きくため息をつく。
『正直に水の精霊から加護をもらえたから,水魔法を練習していた結果と話しな。変な隠し立てはしない方がいいぞ』
『はい・・・』
項垂れるレン。
『これじゃ水魔法の練習どころじゃないね。水魔法の練習ができるようになったら呼んでよ』
水の大精霊ウィンはそう言って消えた。
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