第9話 帝都へ

『神像職人のレンです。

今日も朝から神像作りに励んでいます。

お爺さま、お婆さまたちが、仲の良い貴族達に贈り物として贈っているため、既に30体ほど作っています』


氏名:レン・スペリオル

年齢:7歳

種族:ヒューマン

職業:スペリオル公爵家嫡男

   神像職人(NEW)

状態:良好

スキル:

  木 Lv5

    ・木製品製作 【Ⅴ】

    ・魔力吸収  【Ⅲ】

    ・木と森の恵み【Ⅲ】

    ・ウッドゴーレム

    ・神像作成  (NEW)

  生活魔法

  身体強化Lv3

  魔力操作Lv3

レアスキル:

  神眼(隠蔽中)

  剣聖Lv 3(隠蔽中)

  全魔法適正(隠蔽中)

  魔力回復量UP Lv2(隠蔽中)

  全状態異常耐性Lv3(隠蔽中)

  隠蔽Lv2(隠蔽中)

  神聖魔法Lv3(隠蔽中)      

称号:

  慈母神アーテルの使徒

  ククノチの加護 

  木と森の精霊たちの寵愛

  慈母神アーテルの神像職人(NEW)

補足事項:(神眼保持者のみ閲覧可能)

  ※木製品製作 【Ⅴ】

   鋼の如き特性と強さを持つ

  ※魔力吸収  【Ⅲ】

   木と森から魔力をもらうことができる。

   魔力総量の全回復(制限解除)

  ※木と森の恵み【Ⅲ】

   木や森に魔力を与えることで一時的に

   成長を促進。

   成長力50%アップ。効果は5日のみ。

  ※神像作成(NEW)

   神の力を宿した神像を作成できる。

   作成した神像は、魔を祓いその空間を

   清浄化。

   込める神力と像の大きさで効果範囲は

   変わる。



木の派生スキルと職業・称号が増えたよ。

神像を作るほどに神聖魔法のレベルも上がっていく。

いつの間にか、神聖魔法では治癒魔法と状態異常回復魔法が使えるようになっていた。

そして、称号で慈母神アーテル様の神像職人ですか。


お爺さまから、少し大きめの神像を作って欲しいと言われて、二回りほど大きなものを作った。


「レン。これもまた見事な出来栄えだ」

「エヘヘへ・・・」

「レン。これを持って儂と一緒に出かけるぞ」

「エッ・どこへ」

「来ればわかる」


すぐさまメイド達が丁寧に梱包を始める。

驚きの手際良さだ。

壊れないように入念に梱包している。

木箱に入れられそれを馬車に運び入れ、その馬車にお爺さまと一緒に乗って出発した。


ーーーーー


走る馬車の周辺をヨーク領青龍騎士団の精鋭30人が取り囲んでいる。

かなり物々しい警戒ぶりだ。

一騎当千の強者揃いのヨーク領の精鋭30人は普通では無い。

皆武術か魔法で一流と呼ばれるもの達ばかりだ。


「お爺さま、ヨーク領の精鋭30人はかなりものものしいです。普段はこれほど警戒をするとは聞いたことがないですけど」

「防音と防御の結界を張ってあるこの馬車の中であれば話してもいいか。儂らは帝都に向かっている」

「帝都ですか」

「そうだ。帝都についたらすぐに城に向かい、2人で陛下に会うことになっている」

「えっ・・陛下にですか」

「レンに作ってもらった慈母神アーテル様の神像は陛下に献上するものだ」

「ですがなぜ帝都に行き、陛下にお会いするのですか」

「レンを守るためだ」

「僕を守るためですか」


ハワードはゆっくりと頷く。


「レン。お前は両親と暮らしたいか」

「嫌です。もう一緒に暮らしたくは無いです」

「ハッキリ言うか・・・まあ、そうだろうな」


ハワードは少し寂しそうな顔をする。


「今のままでは、お前の両親達が何をするか分からん。そこで、陛下と宰相と儂で会合を持った。そこで決まったことはルナも承知している」

「お婆さまもですか」

「そうだ」

「何を決めたのです」

「今儂が治めている領地と、レンの両親が治めて領地を合わせて、スペリオル公爵領であることは分かっているな」

「ハイ」

「レンの両親達に公爵の位と半分の領地を渡し、残りは様子を見ながら徐々に渡そうと考えていた。だが、爵位と領地半分得てから2人は変わってしまった。傲慢さが表に出てきて誰の言うことも聞かなくなってしまった」

「なぜ、最初に領地を半分にしたのです。普通は爵位と領地は一緒。領地を半分に分けて渡すことはないはず」

「陛下が不安視していたからだ」

「陛下がですか」

「スペリオル公爵領は帝国の東に位置していて、帝国にとって重要拠点をいくつも持っている。東に広大な魔の森を抑え、領内にミスリル鉱山、帝都に次ぐ商業都市ヨーク。北には敵性国グレイン王国がある。エレンの実家ファーレン子爵はグレイン王国と親しいのだ」

「様子を見たかったと言うことですか」

「そうだ。そのため、重要度は低い南側を治めさせて様子をみる事になった。だが、領内での2人の評判はすこぶる悪く、諫言する心あるもの達を遠ざけている。さらにレンの問題が起きた。そのため、儂が持っていて空いている爵位の一つウィンダー侯爵をレンに与えて儂の領地を継がせ、完全に分けることとなった」


さらっと胃が痛くなるような話が出てきた。


「お爺さま、僕は領地の運営なんてできませんよ」

「そこは心配いらん。儂もルナもいる。有能な家臣達も多い。今は領地経営は考えなくて良い。レンがウィンダー侯爵となり、完全に領地を分けることで完全に別の家にする。そうなれば、簡単には手出しできない」

「それは、もう決定なのですか」

「決定だ。ルナもそれを望んでいる」

「お爺さまとお婆さまを悲しませたくないので、決定に従います。ただ、いろんなことをして、いろんなところに行きたいと考えているのでその時間は欲しいです」

「ハハハハ・・・まだ先は長いから時間は取れるだろう。心配するな」

「それと家紋は、左右に伸びる月桂樹の葉の上に剣と魔法杖が交差しているものになる」

「分かりました」


夕方近くになり街道の途中で馬車が止まる。

周囲には何もない草原である。


「あれ、お爺さま街に止まらないのですか」

「通常貴族の馬車は、街々で止まりながらゆっくりと優雅に馬車を走らせるため、ヨーク領からだと帝都まで5日はかかる。だが今回は5日の距離を2日で行く。当然、急いでいるから街で止まることが無く野営をすることになる。誰が見ても野営は当たり前に映る。儂の直属であるスペリオル家精鋭部隊青龍騎士団のみができる行軍だ」

「そんな強行軍で馬は大丈夫なんですか」

「馬を見てみなさい」


レンは言われた通り馬を見る。


「うわ〜普通の馬よりもデカい」

「魔物のグレートホース。グレートホースはB級ランクの魔物。圧倒的な速さと力強さが特徴だ。グレートホースを飼い慣らしているのは青龍騎士団のみだ。グレートホースは弱者や見せかけだけのやつには従わん。グレートホースに回復魔法を掛けながら走るれば、他の馬では追いつくことはできない。そして、この馬車の作りはこのための特注品だ。初級魔法程度なら簡単に跳ね返す。もし襲うなら事前に待ち構えているか、野営している時を狙うしかないということになる」

「もしかして、罠を張るのですか」


不敵な笑みを見せるハワード。


「情報はどんなに隠しても漏れるものだ。全てでなくとも、一部は漏れると考えておく必要がある。一部でも漏れていれば襲ってくる可能性がある。ならば時間と場所をこちらから指定してやって、襲ってくるならそこを利用してやることも考えておくのだ」


夕暮れが近くなってきたため馬車を止め、同行している兵たちが素早く野営の準備に入る。

そこに漆黒のグレートホースが1頭近づいてくると顔をレンの前に伸ばすと、舌でレンの顔を舐めた。


「うわ〜」

「ハハハハ・・・レン。どうやらこいつに気に入られたようだ。こいつは儂らのグレートホースの中で最も強い奴だ。こいつに気に入られたなら前途有望だぞ。ハハハハ・・・」


グレートホースはしばらくその透き通るような瞳でレンを見つめてから戻っていった。


「つまりだ、儂らの情報があり、襲ってくるなら今夜しかないということになる」

「お爺さま、大丈夫なの」

「大丈夫だ。心配はいらない。レンは夕飯を食べたら寝なさい」

「うん・・」


レンはハワードの横で毛布にくるまり深い眠りに落ちていった。

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