夢の果て

乾いた風音のする少し浅黒い空を見ながら雪山を上る


体に衝撃が走る、直後に背後から遅れて銃声がする

そのまま倒れたふりをする


(出血...シールドを抜かれた?流石に死んだフリをしても、警戒してくるか...)


雪を溶かして雪の中に沈み手を地面に当てて地面ごと山を崩す


「...」


また遅れて銃声が聞こえる


(流石にこの規模でも逃げてるか...流石に相手にするのは面倒かな?)


フルスピードで走って煙に紛れてそのまま進んだ

目的地の古い軍事基地に入り物陰に隠れて

人影を確認して隔壁を遠隔操作で閉めて閉じ込め

大音量のノイズをスピーカーから流し

箱を持ってそのまま真正面から突っ込んで取り押さえ口に手を突っ込む


「女、しかも生身あなた凄いね」


手を抜いて

奪った銃を握り潰す


女が言う


「何故...これだけ撃ち込んで...」


「これは昔あった縛りを解く弾、操縦者の魂を引き剥がす弾、でしょ?」


「...」


「当たりみたいだね」


5歩下がって言う


「起きたら残りを聞くから」


そのまま倒れて眠る


自己修復後に目を覚ますと回りに様々な物の残骸が落ちていた


目の前に立っている女が言う


「目が覚めたか」


「半分ね」


「...なら手伝え扉が開かない」


「いや、私はここ兵器庫を破壊しに来た

だから今あなたを返すわけにはいかない」


「それはどういう...」


「まあ、兵器流出の防止だね、暫くそこで大人しくしてて」


「それは困る」


「じゃあここで戦車に挑むの?、素手で?」


間合いを詰めて相手が手を頭に当てて来る

現実から切り離されて仮想空間に双方が落ちる

真っ暗な空間で目覚める


「意識状態をイジって触感通信で電子戦に持ち込まれた...!?」


同じく立ち上がって女が言う


「おいお前!...この空間はなんだ!...お前は...誰だ?」


パチン、と現実に戻る


「精鋭の戦車猟兵が使う一子相伝の技...少年兵殺しのハメ技ね...」


女の首を掴んで両膝を打ち抜く


「帰ったら治すから、それじゃ私は行くよ」


女が言う


「待て...待ってくれ!私の家族や師匠の命...村の人達の命が掛かっているんだ!」


「だからあの兵器を壊すのをやめてくれないか」


振り返って言う


「大丈夫、その前にこの国を亡ぼすから」


「え...」


「でもそれだけじゃ...」


「部隊は止まらない、

まあ人殺しの家系...因果応報ってことかな?」


「ふざけるな!人殺しの化け物め人殺しはそっちだろ」


「だから私にはこれしかできない、ごめんね」


そのまま基地の奥に向かい兵器庫を破壊し

女を抱えて飛び出し足を治し指さして聞く


「それで?これから村に行って死ぬ?

それとも北の国に逃げる?」


「...」


「まあどっちにしろツケは払わせるから、それじゃ」


まま立ち去って首都に向かった

1週間後、首都に着いた

巨大なビルが立ち並ぶ都市が視界いっぱいに広がる

光学迷彩を起動して官邸に入る


「大統領、約束通り...」


「来たか、だがもうこの旧首都には誰もいないぞ」


「誰?」


「政治も生き物だ、人も変わる

前の大統領はクーデターで失脚した

全てはお前のお陰でな」


「ではなぜ無関係なあなたはここに?」


「お前は”大統領”が死なないと止まらんだろう?

老人一人と古い統治コンピュータ一機なら、安いものだ」


「じゃあ官邸内に居た他の人たちは?」


「死にぞこないの前時代の亡霊達だ」


「どうした?さあ、やれ」


「あなたみたいな良い大人を手にかけるのは気が引ける、けど

私もまた大量虐殺はしたくはない、それじゃ」


腕を突き出して手のひらを広げる

全身の粒子加速器が全力運転する

安全装置の機械的な音がする

閃光と共に周りの物が消え去り

遠くの物が空に吸い込まれていく

巨大なキノコ雲が下から見えた

爆心地の中心で黒い雨が降る様を暫く見ていた

手を閉じて目を閉じる。




































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