二人の夢は【前】
閑静な住宅街を雨の一人歩き
ゲートエリアのセキュリティの前に立って聞く
「ここの18番の家に用があってきました」
入場IDを渡す
スピーカー越しに警備員に言う
「ああ、君が2機目の子だね?可哀そうに
気を付けろよこういうのもなんだが...アイツはオートマタ好きの変質者だ」
「それはお気遣いどうも」
ゲートの先に進み邸宅の戸を叩く
金髪の女が出てくる
「あら、瑞星ようやく来てくれたの?ずっと待ってたのよ
それよりずぶ濡れじゃない!乾かしてあげるわさあ入って」
「その必要はないよ」
機体表面の水分を蒸発させる
女が小さく笑いながら答える
「あなた相変わらず器用ね
それじゃ改めて、お茶を入れてあるわ上がって」
「分かった」
リビングに入ると男がいた
女はその隣に座ってい言う
「さ、座って」
「てっきり男の方は死んでるかと思ってた...」
「あら、そんなことしないわよねえ?」
男が答える
「ああ」
「ふーん、それで?なんで私を呼び出したの?」
「私達結婚するの!」
ッ???
「あら、あなたが笑うとこなんて初めて見たわ
でも笑うことないじゃない、ねえ?」
「そうだ、僕達は本気だ」
「それに私達は死ぬときは一緒、覚悟の上よ
それに子供もいるわ」
「そ...そう」
「それであなたに、配送中に強盗に奪われた指輪を取り返してきて欲しいの」
「そういうのだったら、私がここで作れるけど...」
「それじゃダメなの、私達が二人で決めて買った物よ」
「完全に同じものでも心が無ければ、ないのと同じ
人の思いってのは貴方が思うよりも重いのよ?」
男も言う
「僕からも頼む、僕達にとってとても大切な思い出の物なんだ」
「...」
「分かった、探してくればいいんでしょう」
女が笑って言う
「ありがとう、可愛い死神さん
それと、私達はあなたが考えてるように
逃げたりしないから安心して探してきて」
家から出て歩いて目的地に向かう途中
ゲートに差し掛かったところで警備員が話しかけてくる
「早かったな、お使いかい?」
「そんなところ...でも私はこれが終わったらあそこに居られないかな」
「気に入られず使い捨てでスクラップか...」
「そんなところだね、それじゃ!」
手を振って盗賊の出る山間道まで移動した
高機能アスファルトが敷かれた道を歩く
鉛色の空が木々の間から見える
3機の星震型が道に1機ずつゆっくり出てくる
「精神活動がない、遠隔モード、ってとこ?」
襲う掛かってくる1機目の腕を入り身で掴み
盾にしつつ2機目に近づき蹴って反対側の山まで飛ばし
残った腕を接近する三機目に投げつけて牽制
射撃体勢に入った2機目の銃口を手の甲で反らす
直後機体に腕を突き立てて脊髄ユニットを握り壊し
そのまま2機目を盾に三機目の胴体をワイヤーで切り飛ばした
3機目の耳を掴んで口元に近づけて言う
「聞こえてるでしょ?連携訓練もできてる、あなた優秀なPTRだね
今からそっちに行くから、話聞いてくれる?」
そう言って逆探知した発信源に向かう
寂れた村にたどり着いた
数人の男女が入り口からこちらを見ている
近づいて聞く
「あなた達が例の配送機を襲う盗賊?」
「...」
「大丈夫!私は警察機構の犬じゃないよ」
近くの子供が言う
「でも旧特陸の機体じゃないか!」
「まあそうだね、でも私はオートマタと違って人間ベースだよ」
大人達が話す
「旧時代の条約違反の兵器か...聞いたことはあるが見るのは初めてだ
それに言ってることは噓じゃないようだな、それで?何の用だ」
首にカメラを繋いで写真を出す
「この指輪を探してるんです」
「ああ、それならこの先の港町で売ってしまったよ」
「分かった、ありがとう途中用事も潰せそうだし早速行くよ」
振り返ったところで肩を掴まれ、首元にジャッカーを当てられる
「悪いがここを知られた以上は...」
「...」
「残念、私にジャッカーは効かないよ
それと、ここの話は誰にもしないから安心して」
子供に向かって言う
「貴方達をパイロットにせず、命懸けで戦ってくれる
大人がいてよかったね親を大事ね」
そう言ってそのまま大人を押しのけて港町に向かった
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