電気羊の夢

人や機械でごった返すロビーで受付に話しかける


「中央区の闘技場ってここ?」


受付の男が答える


「そうだぜあんたも、エントリーするのか」


「はい!勿論」


「それで?使用兵器は?銃はレギュレーションで禁止だから没収だぜ」


「素手と硬質切断ワイヤー、機関砲あと焼却兵器、かな?」


「焼却兵器ぃ?なんだそりゃ」


「簡単に言って分子を振動させて熱で自壊させる戦略制圧兵器ですね」


「ヒュウ!そりゃ随分と物騒だね、じゃそれも機関砲と一緒に禁止ってコトで」


「分かった!」


「それじゃあんたは人格搭載型だから誓約書にサインしてもらおうか」


誓約書にサインしながら言う


「最短だとチャンピオンまで何戦くらいですか?」


「ヘビー級なら6戦ライトなら14戦ミドルなら10戦ってとこかな~」


誓約書を渡して言う


「じゃあヘビー級で」


「いいのかい?機動兵器とも戦うんだぜ?」


「まあ何とかしますよ」


「そうか、それじゃ健闘を祈るぜ」


男が手を振って奥から人を呼ぶ


「コイツがあんたの整備士だ」


「女?」


受付が言う


「昔気質だねえAI人権法が煩くってネ、

だが腕は確かだよ安心しな、後が詰まってるんだほら行った行った」


ハンガーで整備士が目を輝かせて顔をこねくり回して言う


「可愛い!デュアルアイ?大分イジってるね!ベースは星震11式かな!?」


「...」


「アハハ!そんなに怖がらなくていいよ、

それじゃ君の整備マニュアルを作らなくっちゃね

構造は?教えてくれるかな?」


機体構造について話した


「筋肉は結晶が綺麗で電着効率も高い、

その上サイボーグまがいの構造に自己修復、凄い構造だよ、

君は作った人は本当に凄い、それに君を愛していたんだろうね」


「まあね..」


「それで、試合は明日だよ?整備していくかい?」


「それはむしろ試合後かなはどうせ壊れるし」


次の日


絶叫が闘技場にこだまする、そこで試合終了になった


整備士の男が言う「これはひでえ...装甲がフレームごと潰れてやがる...」


整備士の女が後ろから近づき言う


「君、性能が未知数とはいえあの重装型をねじ切るとは...恐ろしいね」


「そうでもないよ」


と、血と油の滴る腕を見せる


「機体の耐久性を無視して...痛くはないかい?」


「痛いよ、けど痛覚は切らない、父の教えですから」


そう言ってハンガーに戻る


2週間後


「機動兵器を3機、重装型を2機、特型を1機

今や期待の大型新人として記事に乗るほど、全く君は凄いね」


「まあ、チャンピョン倒したら引退するけど」


「そうなのかい!残念だ...残念だよ」


「そんなことより時間だね」


「ええ、せめて生きて帰ってきてね!」


闘技場に出てチャンピオンに言う


「電星、瑞星だよ、覚えてる?」


「はあ?何の話?」


「見たところ、中は別の人みたいだね

どこでその機体を?」


「道端で焼き切れて停止した軍用機を拾ったのさ」


「なんだ、帰れなかったのね...」


「さっきから何言ってるか分かんないけど、さっさと始めようよ」


「分かった、じゃあ最後に聞くけどこの試合、

能力アリ銃アリ、なんでしょ?」


「ああ!、そうだよ!」


相手の飛ばした斬撃が頬をかすめる


「細切れになりな!」


擦れる鉄の音が響く


「なっ切れない」


「やっぱり使いこなせてない、経験が浅い」


「はっそりゃそうだ、でも同じ場所を何度も切れば切れる」


防いだ個所から部品が飛び散る


「そのようだね」


と腕の下から機関砲を出して相手に向かって撃ちながら接近する


「弾を防がせて接近する気...」


最終的に壁際まで移動した


「壁際に追い込んだ、このまま高圧カッターでなぶれば勝てそうね」


古びた人形を投げる、機体が勝手に後ろを向く

ずるりと残像を生みながら目の前に回り込む

直後轟音が響き、胴体に風穴が開く


「なっ」


後ろの壁際にも穴が開く


「貫通力が高すぎて観客を守っている防弾ガラスすら貫きかねないからね」


そのまま接近する


「もうその様子だと斬撃の威力も落ちてるでしょ?」


「果たしてそうかな、この距離なら!」


顔が切れる、がそのまま構わず掴みかかり闘技場の中央に飛ぶ


「!!」


「ここなら思う存分に能力を使える」


首を掴んだまま静止する


足元の砂がガラス化し相手の剝き出しになった金属部が赤熱化する


「なんだ、これは」


闘技場のガラスが遮光モードになった

熱で空気が歪み、相手の装甲が融解する


声を上げる間もなく相手は焦げた鉄の塊になった

そして頭を切り飛ばし遠くに蹴飛ばし自爆に巻き込まれた


部品が脱落し軋む体をゆっくりと起こす

観客の歓声が響く


整備士が近づいてくる

「本当に勝ってしまうなんて化け物だね」


「対戦相手は無事?」


「ああ勿論」


それを聞き流して胴体の残骸からドッグタグを抜き取る


「その...大切な人だったのかい?」


「そんなところかな、ドックタクは私が届けなきゃね」


そこで意識を失い

ハンガーで再起動した


青い髪の義体の少女がこちらを見ている


「あなたは...」


「あの時のチャンピンだよ!」


「その...まずは助けてくれて...ありがとう

あと...悪かった、ごめんなさい」


「あの機体、あなたの大切な仲間のものだったんでしょう?」


「その様子なら機体に接続した時、何も聞かなかった?ってとこかな」


「そう...だよ」


「それは残念だね」


その後闘技場を後にし、町に向かった

























































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