施設01

荒れた部屋で人に取り囲まれ無数の銃口がこちらに向く


銃を持った男の一人が聞く


「機械がここに何の用だ?どうやって検問所を突破した?」


両手を上げたまま顔の装甲を外して見せて言う


「ここが権利を持ってるって聴いて

向こうにある旧国の遺跡への通行証を買い取りに来たんです」


周りがざわめき、小声で

「機械が人に擬態しているのか?」

という声が聴こえる


集団の中部屋の奥の椅子に座った老人が言う


「皆、それ以上はよせ」


「しかし...」


「いいから聞こうじゃないか、

それで?どうする気かね?」


「破壊します」


「何故?」


「あそこには旧式とはいえ多数の武装した試作機が格納される

当時そこで働いていた人間のあなたなら知ってるのでは?」


「...」


周りの人間が老人を見る


「分かった、いいだろう任せたぞ」


「勿論、そのために作られたのが私ですから」


足元の袋を蹴って渡す


「それで足りますか?」


老人がうなずく


「これを」


通行証を出す


人の間にできた隙間を通り通行証を受け取り言う


「では、あと人払いもお願いしますね」


「それは分かっとるよ」


そのまま振り返り出口に向かう

そこで老人が小さく言う


「長いことご苦労だったな、気を付けて」


「そちらも末永く元気で」

と立ち止まって返す


 そして街に出た


道中農場で出会った若者と出くわす


「お前は...」


銃を構えたところ押さえて路地裏に連れ込み

分解した銃を投げ捨てる


「人に擬態してるて訳か...」


小さく息切れしながら言う


「逆ですよ」


掴んだ首から手を放して言う


「見ての通り、私は人間よ」


蹴り飛ばされ、受け身のまま後ろに着地する。


「その姿でか?」


「そう兵器として作られ兵器として育てられたとろこを除けばね

兎に角このままではお互い引けない、ここは取引しましょう」


地図と通行書を出して言う

「ここまで案内してくれない?」


「...」


「見た所、生まれは底流、だから戦車狩りではいつも切り込み役。でしょ

だから”案内”してくれたら遺跡の金品をあげる、これでどう?」


「それは...」


「それに私を見張ってなくていいの?」


若者はため息をついて言う


「分かったよ」


「それじゃあ連れて行ってもらおうか」


町の郊外に出て若者に聞く


「それで?車の運転はできる?」


「少しなら...」


「じゃあこれは?」


偽装ネットとカバーを外す


「大型トラック...どこからこんなもの盗んできたんだ...」


「まさか、スクラップから私が組み直したの

それで?動かせる?」


「いや、俺にはできない...」


「そう、それじゃ運転席に座ってハンドル握って

運転手のフリしてて、私が動かすから」


そう言って通行所を手渡す


そして車は走り出し、若者の案内もあり無事検問所を抜け遺跡に着いた。


施設の前で言う


「どうする?死ぬかもしれないけど、ついてくる?」


「ああ...ついていくさ、

お前が金になりそうなものを持って帰ってくるとも思えないしな」


「それはそうだね」


と言ってカバンを渡し施設の電子ロックにキーカードを通す


青い円筒状の巨大な空間が目の前に広がる


「ここは零下40度だからこれを着て、壁には素肌を触れさせないようにね」と防護服を指さす

「それで目的地はこの下よ」


防護服を着て怯えた顔で若者が言う

「凄い施設だな...」


「棺桶よ」


エレベーターで下に降りて赤い非常灯のついた一本の通路の端に降りる


「ここで別れましょ」


「何故だ?」


「貴方が欲しがってる金目の物がある貴重品保管庫はあっち

私が用のある方向はこっち」


「まあどの道あなたが戻ってくるまで施設は自爆させないから安心して」


「それじゃ」


凍った一人で廊下を進み突き当りの凍った扉を開け

天井からぶら下がっている無数の凍結状態の人間や胎児を掻き分けて進み

コンピューターにケーブルを繋ぎ扉の外でスイッチに接続した


背後から足音が聞こえる

「そっちは終わった?」


「ああ終わった、それでこの扉はなんだ」


「見ない方がいいこと」そう言ってスイッチを押す


「施設を自爆させた、エレベーターはもう使えない

それじゃ飛ぶよ」


若者の体を掴んで通路を走り地上階まで飛び上がって施設の外に飛び出る


「これで終わりだね2キロ離れたし、ここからは徒歩でいいよ

じゃあ私はこれで」


背後で巨大な爆発が起きる


「おいなんだよあの爆発はあれじゃ検問所の人間も...」


「そこは大丈夫」時計を出して見せる

「多分人払いは済んだ後だと思うし」


若者はうろたえて言う

「二日経っている...」


「あそこの2時間は現実時間の二日よ」


そう言って畑のトウモロコシの間を通って元の農道に出た




























































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