第4話
そんな感じで、あっという間にイベント当日。
俺たちエンペスは、いつもどおりの衣装とメイクをして会場へと向かった。
徒歩だったから、多くの人に声をかけられた。
「サインください!」
「きゃー!リオンくん!!」
そして、その中にクラスメイトもいた。
俺がエンペスって知ったらどんな顔するんだろうか、と思いながら俺たちは楽屋へと入った。
そして、少し時間が経ちリハーサルへと向かうと、Cutie Starsの皆がいた。
「あ、エンペスだ!」
「すごい、本物だ!!」
「サインください!」
彼女たちも、今人気が上がっているアイドルグループなのだが、そんな彼女たちが俺たちのサインを欲しがっている。
「俺達って、有名になったんだな。」
「ようやく実感がわいたよ」
サインを書き、リハーサルが終わるとまた楽屋へと戻った。
ちなみに、実姫のダンスはほかのメンバーよりすごかった。
一つ一つのイベントに命を懸けているぐらいだ。
それほど、活動を頑張っているんだな。
俺も、頑張らなくちゃ。
だが、一つ気になったことがあった。
都度、彼女が俺のほうを見てくるのだ。
しかも、まるで俺のことを知っているような目で。
もしかして、リオンの中身が絃矢ってことがばれたのか?
「いやいや、そんなはずないよな。」
妹にも俺がリオンだとばれてないだろうし、幼馴染には当然ばれるはずない。
ずっとまともに会話してないから、俺の事なんて忘れてるだろ。
きっと、リオンとして俺のことを見てる。
----------
私は、ずっと隠していることがある。
"ずっと"っていっても、最近知ったことなんだけど。
クラスで、エンぺスというグループがたびたび話題になっている。
それもそのはず、今一番人気の歌い手グループだから。
「どんな人たちなんだろう」とか、「調子乗ってる」とか、いろんな意見も飛び交う。
私も小さいながら、アイドルグループのメンバーだし、誹謗中傷を受けたこともあるから心が痛むけど。
だけど、ただ"アイドルだから"って理由で思っているわけではない。
エンぺスのリーダーは、絃矢だからだ。
新井絃矢。同じクラスメイトで、いつも隅の席に座っているボッチな高校生。
私は、そんな彼と幼馴染だ。
でも、最近は話さない。
決して、彼を嫌いになっただとか、陰キャだからとかそういうわけではない。
彼は必死に隠しているつもりだったけど、私にはバレバレだった。
そりゃあ、十何年も一緒に居たから。
アイドルと無縁そうな彼が、エンぺスのリーダーであることを。
-----------------------
短くなるので短編に変更。
修正も兼ねているので投稿ペースは遅れます。
カクヨムコン短編で1位です。卑怯な気もしますが、一応規約違反ではないと思うので。(カクヨムコンの長編部門から、受験生という理由もあり時間の都合で短編に変えただけ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます