第2話

そう、俺はこのエンペスのリーダーである「リオン」なのだ。

そしてこのことは、家族にも話していない。

知っているのはメンバーだけ。

なぜなら、これは本当の自分じゃないから。

元々、俺はメンバーのnaluとネットの友達だった。

オンラインゲームで遊んでいると、彼から「一緒に歌い手しない?」と誘われた。

俺は、一回彼の前でVCで歌ったことがある。

そのとき、一緒に歌い手活動をやってみたいと思ったようだ。

自分歌がうまいとは思ってなかったけどね。

その後、二人だと少ないから彼の同じネット友達のfyuとみつきを呼んで、4人で歌い手をすることになった。

驚くことに、fyuは元々SNSで有名だったらしく、そこからどんどん俺たちの認知度が上がった。

まぁ、最初は登録者が1000人程度だったけど、ある歌を歌ってから色んなところに拡散され、あっという間に10万人を達成した。

正直、このスピードに俺たちは追いつけなかった。


そんなことがあって、今のエンペスがある。


「私、リオン様推しなの!お兄ちゃんも推そうよ!」

ある日、いつも通りテレビを見ていたらそんなことを言われた。

自分で自分を推すって、どういうことや、、、

流石に気まずいので、「今はいいかな」と回避した。


次の日。

俺はとあるスタジオに来ていた。

「おっす」

「今日もやるか」

前にいるのはfyu、みつき、nalu。

今日はダンスの練習の日だ。

元々歌い手活動だけだったのが、MVも付けることになった。

本格的に「アイドル」デビューするってことだな。

昔を思うと、naluの家でみんなでレコーディングしたのが懐かしい。

あの時は、本当に思い付きでやったから何も準備ができていなかった。

それでも、みんなが本気で取り組んだから今や大人気になったんだ。


このチャンスを、どぶに捨てたくない。

いつ、この人気が落ちるかなんてわからない。

だから、俺はみんなと頑張る。


休憩時間。

俺は、メンバーにとある相談をした。

「このこと、家族に話そうかな、、」

「「「だめ」」」

「なぜ?」

「だって、妹がリオン推しでしょ?危険じゃない?」

「ただでさえブラコンなんだからやめたほうがいいって」


そう言われたので、一旦は話さないように決めた。

でも、いつかバレそうなんだよな、、、、

ま、そんなことないか。


その軽い思い込みが、後々大事件を起こすことを知らずに。

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