第3話 心

 ザカスの暁光から20年の月日が流れ、リモルー王国は以前と変わらぬ平和な時を刻んでいた。アインハム・ルウカは18歳の誕生日を迎え、幼少期の可愛い面影を残したまますくすくと成長していた。女王アインハム・ノドカが謎の失踪を遂げてから10年、今もなお消息不明な状況が続き、実質リモルー王国はルウカ王女の指揮下となっていた。国の発展に興味のないルウカは毎日城を飛び出しては王国の民と語り合い、周辺のモンスターとも心を通わせ、困ったモンスター達を助けたり、仁歌の鍛錬を行う日々を送っていた。

 ある時、40代と思われるイケオジがリモルー王国に現れた。その男は大柄で筋肉質の見た目をしており、なぜかザカスという男を捜していた。その男からは敵意を感じられず、王国の民も初めて肌で感じるイケオジのフェロモンに魅了されていた。もちろん王国の民たちにザカスという男の存在を知っているものはおらず、トーミと名乗るその男の期待に応える事は出来なかった。

 男は大事な話があるから国の1番偉い人に合わせてくれと王国の民に懇願してきた。

その場に現れたルウカの姿に戸惑いを隠せないトーミだったが、冷静かつ淡々とした口調でルウカに向かって話始めた。

 「この王国は各国から狙われている、人の心を操れる宝を欲して大軍が押し寄せるだろう、一体その宝とは何なんだ」と。

 どうやらザカス帝国が皇帝不在時に管理下にあった旧ナーガ帝国の生き残りが、ゼリヤ大陸全土に噂を広めたらしい。

 大陸と小さな島国の間で起こる宝を巡る侵略バトルがこれから繰り広げられることになる。

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