第15話 消えた訓練場
俺はさっそく王城へ、魔法の指導官の用意と魔法訓練場の使用許可を取り付けた。
「レオン、行くぞ。」
「分かった〜」
ドラン、ありがとう。
ドランが髪を立ち上げる方法を教えてくれたから、今までになくスムーズに家を出ることができた。
機嫌良くフードを被らずに家を出るレオンだが、正直俺には、昨日の髪と何の違いがあるのかが分からなかった。
「レオンです〜先生よろしくお願いしまーす。」
「レオン殿、お初にお目にかかります。私はサリュー。宮廷魔法師団に在籍しています。どうぞよろしくお願いします。」
まさか魔法師団の副団長が出てくるとは。
改めてレオンがこの世界を救う勇者なのだと思い知らされた。
やはりソファーなどで寝かせたなどと知られたらとんでもないことになるな。
「副団長、実は・・・」
俺は先日の冒険者ギルドで玉にヒビが入ったこと、昨日ライトの魔道具が粉砕したことを話した。
「なるほど。魔力がかなり多いと聞いている。魔法の知識がない状態で膨大な魔力をコントロールするのはなかなか難しいだろう。
まずはコントロールするところから始めるか。魔道具が使えないのは不便だしな。」
「アデル帰るの?」
「あぁ、俺は引っ越しの準備を進める。夕方には迎えにくる。」
「そっか、分かった〜。俺は頑張って勉強してみる。」
「副団長、よろしくお願いします。」
「あぁ。」
俺は帰り道に荷車を借り自宅へ戻ると、まとめ終わっている荷物を乗せて新居との往復を繰り返した。
はぁ、体は疲れたがレオンがいないと精神疲労が無くていいな。
何日か一緒に過ごしていれば、だんだん慣れてはくるが、やはりあの謎の言動やふわふわとした性格に付き合わされるのは疲れるんだ。
昼は適当に屋台で買って食べ、束の間の休息を満喫した。
そして魔法訓練場に戻ってみると、魔法訓練場が見つからなかった。
おかしいな。確かレオンのために借りた訓練場はここだった気がするんだが、数日来ない間に配置が変わったのか?
困ったな。
仕方なく、通りかかった騎士に聞いてみることにした。
「すみません、第二魔法訓練場はここではなかったでしたっけ?」
「あ、あぁ・・・」
困った顔でどちらとも取れないような返事をする騎士に違和感を覚えた。
「移動しましたか?」
「いや、昼過ぎに勇者が破壊したらしい。」
「は?魔法訓練場は大型魔法も耐えられるんじゃないんですか?」
「あぁ、俺らもそう聞いているが、この通り更地だ。さすが勇者というか・・・。」
「それで勇者は今はどこに?」
「魔法師団の団長室にいると思うぞ。」
「そうですか。分かりました。」
今朝までのレオンは魔力を少し出す程度の知識しかなかったはずだ。
それに副団長が魔力コントロールも上手くできないようなレオンにいきなり大型魔法以上の魔法を教えるとは思えない。
なんでそうなった?
俺は更地となった第二魔法訓練場の跡地を横目に団長室へ急いだ。
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