第14話 ザーン!!って何の音だ?



「あーしまった。ミツローってやつどこに売ってるのか聞くの忘れた。」

「蜜蝋なら分かる。」

「あ、そうなの?さすがアデルだね〜」


ドランは蜜蝋は高くないと言っていたが、結構な値段だった。まぁこのくらいなら買ってもいいだろう。

オイルは花の種から取れるオイルを選んでいた。さすがに香油は高すぎて手が出なかったが、レオンは冒険者として稼いだ金で買いそうだな。


そしてアイロンとかいうやつは、魔道具屋をいくつか回ってみたが、やはり無かった。

しかし、最後に行った魔道具工房で、それ面白そうだから作ってあげるよとレオンのアイディアを気に入った職人が作ってくれることになり、レオンの願いは叶いそうだ。


しかしなぜそんなに髪型に拘るのかが分からない。


「ねぇアデル、この国の人ってみんな優しいよね。」

「ん?そうか?他と比べたことがないから分からん。」

「そっか。騎士団だっけ?近いうちに行ってみようかな。」

「どうした?引っ越しが終わってからにするんじゃなかったのか?」

「みんなが困ってるなら、俺、早く強くなんなきゃじゃない?」

「まぁ、そうだな。」


何やらレオンに心境の変化があったらしい。

やる気になってくれたならいいか。



「ねー、アデル、ライトつけてもいい?」

「そう言えば魔力を出せるようになったんだったな。いいぞ。」


レオンも今までは魔道具を使いたがらなかったし、俺もレオンは使えないものとして対応してきたが、そう言えばギルドカードを発行できたということはレオンは魔力を出せるということだよな。

頭の片隅で、何かが危険だと警鐘を鳴らした気がしたが、ライトの魔道具をつける程度なら危険はないだろうと思い、俺は軽い気持ちで了承した。



ザーン!!!


レオンがライトの魔道具に触れた瞬間、意味の分からない破裂音?が鳴って、ライトの魔道具は粉々に砕け散った。

高速で砂を投げつけられたような痛さはあるが、金属の塊が飛んでこなかっただけマシだろう・・・


そして先ほど危険だと頭をよぎった理由だが、数日経っていたことと、ドランという危険人物の存在に掻き消されて忘れていた、冒険者ギルドの玉にヒビが入った件だ。



「アデルごめん。壊れちゃった。」

「いや、ライトくらい高いものじゃないからいいんだが、何をしたんだ?」

「魔力を流したんだけど、何でだろう?」

「レオンは魔力量が多いから魔力のコントロールを先に習った方がいいかもしれん。」

「そっか。じゃあ、魔法の先生?王様が用意してくれるんだっけ?お願いします。」

「あぁ、分かった。」


こうして、やはり今のレオンが魔道具を起動させることはできないと結論が出たため、今日も俺はレオンの頭を洗ってやることになった。


皆が裸でいるような公衆浴場で魔道具を破壊するわけにはいかないからな。今回だって服がなければ擦り傷などが無数についただろうし。



「アデル、どうやって掃除しよう?」

「俺が魔法でやる。」

「そっか。魔法って便利なんだね〜

俺も早く使えるようになりたい。」

「あぁ、頑張ってくれ。」


あんな危険な魔力の出し方をする奴がその辺にいるなど怖くてたまらない。

間違って腕にでも触れる時に魔力を流されたら人間も破裂するのではないか?

とにかく早く魔力コントロールを身につけてもらわないと、俺も危険だがレオンも危ないだろう。


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