第13話 勇者と乱暴者
「お待たせしたね。ミノタウロスのシチューだよ。パンとサラダもね。」
「おばちゃんありがとね〜美味しそう。」
「あら〜ドランの知り合いにしてはいい子ね〜」
「熱っ、これめっちゃ熱い。舌火傷したかも〜
あれ、気のせいか。もう治ったかも〜、これ美味しい。」
「そうだろ?」
「三ツ星ホテルの高級なシチューみたい。ミノタウロスって牛?」
「そうだな。でかい牛の魔物だ。」
「そうなんだ。どれくらいでかいの?」
「普通の牛の三倍くらいか?」
「え〜!?マジ?そんなのいるんだ?それもう牛じゃなくてゾウだね。魔物ってことは危険なんでしょ?この街の近くにもいるの?」
「あぁ、いるな。森の浅いところにはいないが、奥に行けばいる。この前も1体倒したしな。」
「え!?ドランそのでっかい牛の魔物倒したの?」
「まぁな。」
「スゲ〜。ドランって強いんだね。」
「まぁな。」
ドランよ。俺はレオンの発言に度々理解不能な言葉が出てきて気になるんだが、お前は気にならないのか?当然のようなふりをして会話をしているように見えるが。
そして、強いと褒められてまた照れている。
どうなってるんだ?
「ドランって武器使うの?魔法も使う?どうやって戦うの?」
「レオン!!」
「ん?アデルどうしたの?」
「冒険者は手の内を明かすのを嫌がる。戦い方を聞くのはやめておけ。」
「そっか。ドランごめん。俺まだこの世界に来て間も無くて、常識とか分かんなくて、嫌なこと聞いてごめん。」
レオンは意外にも素直に謝った。そして俺はホッとした。
ここは穏便に済ませたいんだ。どうかドラン、アホな、いや無知なレオンを許してやってくれ。
「別に俺は隠してねぇし。隠すなんざ弱い奴がすることだ。」
「何それドラン格好良すぎ。俺も強くなってそんなこと言ってみたい。やっぱり強い男って格好いいんだな〜」
ドランのイメージが少し変わるな。
しかし、レオンをあまり素行の悪い奴と付き合わせたくはない。
「そうだ!ドラン、ヘアアイロンとかあったりする?」
「は?何だそれは。」
「髪を挟んで熱で真っ直ぐにするやつなんだけど。」
「知らんな。俺は魔道具には詳しくない。魔道具屋に聞いたらいいんじゃないか?」
「そっか。そうだよね。専門家なら知ってるかもしれないし。ドランありがとねー
じゃあ俺はミツローってやつとオイル買いに行かなきゃだし、魔道具屋に行くから、じゃあねー
また冒険車ギルド?だっけ?で会ったらよろしくね〜」
「おう!」
去る時は意外とあっさりなんだな。
強いと聞いて取り込んだり戦いを見せろと言ったりするのかと思えば、そうではなかった。ますますレオンという男が分からない。
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