第8話 勇者と図書館へ
「俺が選んでいいの〜?」
「あぁ、レオンが読みたい本を選ぶといい。そこの司書に頼めば本の場所を教えてくれる。」
「分かった〜
ねーねー、おじさん、ファッション雑誌とかある〜?ゲーム雑誌とか漫画は無いよね?なんだろ、とりあえずベストセラーとか?」
「ファッチョ?ゲーム?」
司書のじいさんは困って俺を見た。
俺を見ても、俺も何のことか分からないんだが。
「レオン、そのファなんとかとは何だ?」
「流行の服とかそーゆーの。」
「なるほど、服の本ですか。それならEの棚の2段目にありますよ。」
「ゲームというのは何だ?」
「んー遊び?趣味?なんだろ、あーあれだ娯楽っていうやつかも〜」
「娯楽、編み物や刺繍でしたら同じくEの棚のの3段目にあります。」
「編み物とか刺繍は女の子がやるやつじゃん。若い男の子の趣味的なやつ何かないの?アデルは普段何して遊んでんの?」
「遊び・・・狩りか、カードゲームか、大人になったら飲みに行くくらいか。」
「ふーん、そうなんだ。
あ、そうだ。魔法の本見たい。初心者にも優しいやつがいいな〜
0から初めて10日でマスターできます!みたいなやつない〜?」
「何日でマスターできるかは人によるので何とも言えませんが、初級魔法でしたらKの棚から順に並んでいますよ。」
「ん〜分かった。おじさんありがとね〜」
「え?あ、はい。」
じいさんも戸惑っていた。
レオンはほんの些細なことや、そんなの仕事をしただけだと思うようなことにも感謝を述べる。そこが少し恥ずかしいし、でも何だか擽ったくて、ちょっと嬉しい。
きっと司書のじいさんもそうなんだろう。
訳の分からない言葉を並べられて戸惑っていても最終的には少し微笑んでいた。
レオンはそれを自然にやっているのか、それとも計算なのかが分からない。
「服、服、服〜♪
ってそっか、そういうことか。流行りの服じゃなくて作り方か〜
そーゆーのは求めてないんだよねー。
いいや、魔法は楽しそうだし、そっちに期待しよ〜」
鼻歌など歌って上機嫌だな。そういえば、レオンはいつも機嫌がいい。
朝から櫛を買いに行かされたりはしたが、ムスッとしたり、怒ったりしたところはまだ見ていない。
この男が怒ったらどうなるんだ?手を出されたら俺は軽く腕一本くらい無くなるかもしれない。
怒らせないように気をつけよう・・・。
「レオン、魔法や剣術や武術やなんかは王家に頼めば指導官を用意すると言われている。どうする?頼むか?」
できれば俺は頼みたいんだが。
今のところ悪意があるようには見えないが、とにかく一緒にいると疲れるんだ。
少しくらいレオンから離れて休息を・・・。
「うーん、引っ越し終わったら考える。
たぶん、俺、強くならなきゃいけないんだよね?戦ってほしいって言ってたし。もっとこの世界のこと知りたいけど、守んないといけないならやってみるー」
「そうか。あぁ、そうだな。レオンはたぶん今でもかなり強いと思うが、少し鍛えたらもっと強くなると思う。」
「そっかー
この世界の言葉も分かるし、チートってやつ備わってんのかもね〜」
また知らない言葉が出てきたが、前向きに考えてくれているようでホッとした。
「アデル、俺って仕事とかしていいの?できるか分かんないけど。」
「仕事なんてしなくてもいいのでは?諸々の費用は王家が出すから金に困ることもないし。」
「ん〜でも贅沢品をポンポン買うわけにはいかないじゃん?」
俺なら仕事などせず王家に甘えて欲しいものを買いまくるけどな。
「何か欲しいものがあるのか?」
「ハーブの入ったオイルだっけ?ヘアオイル、あと石鹸。化粧水とか乳液とかもあれば欲しい。
日焼け止めも。」
あぁなるほど、なぜかレオンは異常に髪に拘っているからな。石鹸か。それくらい買ってもいいと思うが、香油は高いからどうだろうな・・・
化粧水とかその他のは何なのか分からないが、安いものなら買ってもいいと思う。
「石鹸は買ってもいいんじゃないか?香油はちょっと聞いてみる。他は何なのか分からんが、探してみるか?」
「いいの?でも自分で自由に使えるお金っての欲しいんだよねー
親の金なら普通に使えるけど、王様のお金でしょ?なんかちょっと不安だし〜」
レオンにできる仕事か。
もう少し鍛えてからと考えていたが、冒険者登録をさせてみるか。
冒険者の仕事は魔物と戦うだけではないからな。駆け出しなんかは掃除や荷運びなんかの手伝いもあるし、それくらいならレオンにもできるかもしれない。
「冒険者登録をしてみるか?」
「冒険者?冒険すんの?登山とか?未開の島とか行ったり?え?でもそれって仕事?お金稼げんの?スポンサーとか探すってこと〜?」
「いや、スポンサ?というのは知らんが、依頼を受けてそれを達成すると金が貰える。
簡単なやつだと、荷運びなんかをして金をもらう。」
「それだけ?冒険は?」
「冒険者登録をしていても冒険などしていない者がほとんどだ。依頼は荷運びだけではないし、その者のレベルに合った依頼を受けることになる。」
「へー、でも荷運びなら俺にもできそう。引っ越し屋のバイトはしたことないけど、そんな感じでしょ?
いいよいいよ、登録する〜」
「今日はもう遅いし荷物もあるから明日にしよう。」
「うん、分かった〜
今日はこの借りた本読んで魔法の勉強してみる〜」
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