第2話 なぜ俺が男の頭を洗うことに
風呂に行きたいと言っていたから、とりあえず公衆浴場にでも連れていくか。
「待たせたな。」
「ん〜?色々見てたし平気〜」
「風呂に行きたいと言っていたな。公衆浴場へ連れて行こう。」
「マジ?銭湯?スパ?俺、着替え無いんだけど〜、タオルはレンタルある?シャンプーとかは備え付け?あれ髪がキシキシするからちゃんとしたの買いたいんだけど〜」
「着替えか。先に買いに行くか。他にも買いたいものがあれば買おう。陛下から金は預かっている。」
「いいの〜?王様ってやっぱりお金持ちなんだね〜、しかも太っ腹じゃーん。」
何を言っているのかよく分からんが、陛下へ敵対する気はなさそうだ。よかった。
服屋へ行くと、なぜか女性ものの服を選んでいた。
「レオン、それは女性ものだぞ?」
「そうなんだ。サイズが合えば別にいいよ。ユニセックスっていうの?」
「よく分からないがレオンがそれでいいならいい。」
「これってサイズとか形とか直してもらえるの?」
「いけるんじゃないか?」
「店員さ〜ん、これなんだけど、もうちょっと細めにできない?こんくらい。」
「できますよ。」
「じゃあお願〜い。」
彼はいくつかの服を直してもらうよう依頼し、出来上がるまでの時間は別の店で鞄やブーツも買った。
レオンは部屋で履くルームシューズのようなものを履いているからな。ビーサンとか言っていたか?
ブーツはでかい金具がついた頑丈なものを選んでいたから、ようやく自分の役割を理解し、戦闘に適したものを選んだのかもしれない。
「戻れないって言われたからさー、監禁?とかされるのかと思った〜
これなら、俺走って逃げたら逃げられるじゃん。あーでも、海渡るのヤバイねー。
泳げるけど、足付かない深いとことか行ったことないしー」
「逃げないでください。レオンにはこの世界の未来がかかっているのです。」
「俺、そんな重荷1人で背負わされてんの?
そんなの無理だよ。だって俺、まだ学生だよ?」
「俺もサポートするから。とりあえず服を受け取って公衆浴場に行ったら俺の家で今後のことを話そう。」
「分かった〜」
服を取りに行き、公衆浴場に行ったが、レオンは何一つとして使い方が分からなかった。
「このボタンを押しながら魔力を少し流すんです。そうすればここから水が出ます。」
「魔力を流す?え?何それ。魔法使いじゃん。
あ〜タオル買ってない。シャンプーも買い忘れた〜。洗顔もないじゃん。化粧水とか乳液も買ってないしどうしよう。肌荒れじゃん。」
何か色々喚いていたが、何を言っているのか分からないし面倒だったから、頭から水をかけて洗ってやった。
まさか大人の男の頭を洗う日が来るとは・・・
髪が固まっているな。ずっと洗っていなかったような臭さはないが何だ?
「ちょっと待って、待って〜
ワックスとかついてるしハードスプレーで固めてるから無理やりしたら俺の髪無くなっちゃうじゃん。」
「何の話をしているのか分からん。」
「だから〜、俺の髪には色々つけてるからシャンプーないと無理なの〜
シャンプーないの?シャンプーって分かる?髪洗うやつ。」
「シャンプー?それはなんだ?普通は水で洗うだろ。たまに石鹸で洗うが。」
「え〜?マジ?石鹸か・・・ここの国って文化遅れてる感じ?」
「この世界の中で我が国は進んでいると思うが。」
「鎖国ってやつ?石鹸でワックス取れんのかな?でも水だけよりはいいか。
じゃあトリートメントとかヘアパックある?ヘアオイルでもいいんだけど。」
「貴族の女性がハーブが入ったオイルを使うと聞いたことがあるが、それ以外は知らんな。」
「貴族なんているの?ヨーロッパみたいだね〜
王様もいるし面白い国だね。そのオイルってすっごい高い?」
「あぁ。高い。」
「シャンプー無いし、ワックスとか絶対ないよね?スプレーも無さそうだよね。
まさかドライヤーもアイロンも無い?」
「どれも聞いたことがないな。」
「無いのか。無いのはしょうがないよね。
まぁいいや。髪は水の中でほぐすことにする。石鹸も買いに行かなきゃ無いんでしょ?」
「あぁ、そうだな。石鹸も高級品だからな。」
「マジか〜百均とかも無いんだ?不便。でも俺、意外と順応性あるからいけると思う〜」
「そうか。それは良かったな。」
なんだか話をしているだけで疲れた。
怒り狂ったり泣き喚いたりしないだけマシか。
魔力を流すという基本的なこともできないようだし、本当にこの男は今までどうやって生きてきんだろうな。
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