試合後半
休憩も終わり、試合後半が始まった。
開始は相手ボールからなので俺たちのチームは守備を万全にしていたのだが、開始早々菊池さん一人に皆抜かれてシュートを決められてしまった。
ボールが菊池さんの手に渡ると、あっという間に決められてしまう。俺たちのチームも負けじと攻めてなんとか頑張ったが、七海は菊池さんにピッタリとマークされているし俺も二人にマークされているのであまり動けない。河井さんが頑張ってくれたが指原さんはあまり運動が得意では無い為、相手の運動部員に阻まれて点を取れずにいた。
そのまま開始2分で9対10と追い越されてしまった。
(…俺たちチームで動けるのは指原さんと河井さんだけ。ゴールは決められそうも無い…やっぱり俺と七海でなんとかもうゴールを決めないと厳しいか……?)
ドリブルしながらそんなことを考えているといつの間にか相手のゴール付近にいる杦本さんを見つけた。
(決めれるか分かんない…けど、ご褒美の
約束までしたんだから頑張って点取って!!杦本さん!!)
杦本さんにパスを出すとボールを受け取った杦本さんはすぐさまシュート体勢に入る。相手チームは今まで動かなかった杦本さんがシュートを打とうとしているのを見て驚愕している。
杦本さんはノーマークでシュートを打った。そのボールは綺麗な弧を描いてパシュッと真っ直ぐゴールネットを通った。
綺麗なシュートだった。
けれど菊池さんの落ち着いたプレーで相手チームはまた調子を取り戻し、再び返される。しかしこちらチームは杦本さんが試合に加わったことでアタッカーが増え、相手チームは杦本さんに翻弄されて調子を乱され始める。
お互いプレーに夢中になっているとホイッスルが鳴った。
「試合終了!それぞれ一列に並んでお互い終わりの挨拶をしろ」
「「「ありがとうございました」」」
正面の菊池さんと握手を交わす。
結局試合は杦本さんのプレーにより1点差で勝利を収めることが出来た。
「そっちの子に美味しいとこ持ってかれちったな。完全に意識外だったよ」
「いや、私こそ楽しい試合だったよ。杦本さんが居たから勝てただけで菊池さんには手も足も出なかったよ。今度機会があったらまたやろう」
「ああ、私も楽しかったよ。楽しそうにプレーしてるお前を見て思わず見惚れたよ。ちなみに付き合ってる人はいるのか?」
嬉しいのだが、前世男の身からすれば複雑な気持ちだ。
「…いないけど」
「そうか!今度連絡先交換しねえか?」
(まあ試合は楽しかったし、普通に遊ぶ分には特に問題ないかな)
「じゃあ今度交換しよう」
「ああ、じゃあまた今度な」
菊池さんと別れて皆と合流する。
「勝ったよー!私達勝ったんだー!」
「華恋様のお役に立てませんでした…」
「勝ちましたね。特に最後の杦本さんは素晴らしかったです」
「別に…点数追いつかれたからご褒美の為に頑張っただけ…」
(そういえば口止めしてなかった!!)
「ご褒美ってなんですか?」
(河井さんにつっこまれちゃったじゃん…)
「私が頑張ってこの試合勝ったら華恋がご褒美くれるって約束した…」
その瞬間、皆の強い視線が俺に集中する。
「えっと…これは…その…」
肉食系美女しかいない世界にTS転生したら貞操の危機!? 辻キア @tujirukia
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