side 七海1

華恋と一緒に登校出来たことが嬉しくて内心小躍りしながらも席に着いていつも通り華恋のことを考えていると、指原さんが話しかけて来た。


「ねえっ!さっき華恋ちゃんと話してたんだけど、二人仲良くなったんだってね!何があったのか教えてよ!」


 指原さんは、誰にでも気さくに話しかけるけど、華恋にも気安く話しかけるのはやめて欲しいですね。


「特に何も無かったですよ?」

「ホントのホントに…?」

「しつこいですよ。本当のことです」

「えー絶対何かあったと思ったのに…」

そう言いながらどこかしょんぼりした様子で席に戻って行った。


そんなことより今日の一時限目には、華恋の自己PRがあるからしっかりと聞かないと。


 華恋の番が回って来た。趣味はアウトドアか…一緒にキャンプなんて楽しそう。好きなものはチーズケーキね。今度良さそうなのを見繕おうかしら?優しくて思いやりのある人が良いと…それは全然問題無いわね。付き合ったらお泊まりやデートね…お泊まり?思春期女子同士でお泊まりなんてした日には…これは後で教えておかないと。将来は理想の人と添い遂げたいと。私が華恋と……良いわね。


 ちょっと華恋!?そんなこと言ったら恋人募集中ですって公言したようなものじゃない!これは後でしっかり聞き質さないと…それに、クラスで華恋のことを遠目に見てた連中もこれを聞いてどう動くか…私も結局まだ華恋と何も進展出来てないから何か動かないと……。


自分に纏わりつかれても困るので最後に心に決めた人がいるとだけ言って自分の自己PRを終わる。自己PRの最中に癖で華恋のことを何回も見てしまった。華恋と何度も目が合ったし気を付けよう。その後も思案に耽っているといつの間にか自分の席の前に華恋が居た。


 何か気になることでもあるのか気になって尋ねると私の心に決めた人は誰かと尋ねてきた。けれど、今言うことでは無いので言わない。すると、華恋に聞こうと思ってたことを本人が言ってくれたが、その言葉は聞き逃せないものだった。


華恋が恋人を作ることに少し乗り気になってる!?このままじゃ不味い…まだ何も進展出来てないのに…けど、取り敢えず現時点では気になる人は居ないみたいだから一旦は大丈夫。


でも、あまりうかうかしていられなくなった。以前は華恋が誰も寄せ付けなかったから、このまま自然にと思ってたけれどこれじゃあ形振構ってなんかいられない。


何か無いかと思考の海に潜っていると、華恋が二限目の着替え場所のことを聞いてきた。


そうだ!この高校は、恋愛推進制度のお陰でプライバシー管理がしっかりしてるから一人一人の更衣室があるわ!私の更衣室を華恋と一緒に使えば良いのよ!パートナーが出来た時用に最大二人で使えるようになっているし、バレさえしなければ特に問題は無い筈。


最近の華恋は以前より可愛らしいけど、どこかボーッとしがちだし、更衣室まではなんとか連れて行けそう。そこでどうにか華恋と進展しないと…。最近の華恋は見てて不安になるし……。


  華恋は誰にも渡さない!!





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