更衣室で
なんだか七海の様子がおかしい…
「華恋は…恋人この高校で作るつもりなの?」
「うん?それはまあ作らなきゃかなぁって思ったけど…」
そう言うとななみは無言で迫って来る。
後ずさるが、後ろはロッカーでドアは七海の後ろだ。逃げ場は無い。そのままの勢いで俺の頰の横を七海の腕が通りすぎてバンっと、背後のロッカーが手で叩かれる。
「きゅ、急になに!?ななみ?」
目と鼻の先に七海の顔がある。目鼻立ちは整っていて、長いまつ毛に金色に輝いている瞳。俺の身長は160センチぐらいなのに、ななみが170センチぐらいだから壁ドンされながら見下ろされている。
ななみの吐息が耳にかかる。ゾワゾワして一瞬背筋がゾクッとして変な声が出た。
「ひゃっ!?」
「それなら私にしない?後悔させないわよ?」
(えっ…なんて言った?つまり恋人になろうってこと?なんで?この学校の中では七海が一番仲が良いとは思うけど、そんなに急には……)
「でもそんなに簡単に決められないって言うか…七海だって私と付き合ったら後悔するかもよ?」
「後悔?そんなのしないわ。だって私華恋のことが好きだから…」
「えっ?それって最初会った時から私のことが好きだったって…こと…?」
「そう言うことよ」
そう言うななみの顔は嗜虐的な笑みを浮かべていた…。
「う…嬉しいけど今すぐには…ちょっと考えさせて欲し…んむっ」
唐突に唇を塞がれる。
口内を一瞬で蹂躙され、捕食するように舌が捕らわれては電流が走ったような快感ととろけるような気持ちよさで脳内が真っ白になる。
更衣室が俺と七海の激しいリップ音と微かな呼吸音で支配され、二人だけの空間というのを強く意識してしまう。
たっぷりと貪るようにキスをされて、授業開始のチャイムが鳴るのと同時に唇が離される。足に力が入らずその場でへたり込んでしまった。
「ハアッハアッ……ど、どうしてこんなことを…?」
「それは勿論私が華恋のことを好きなのと、今返事は要らないってことよ。じっくりと時間をかけてでも絶対私のことを好きになってもらうから」
「その為にキスを……?」
「ええ。その様子だと次の授業に差し支えそうだから今回はここまでにしてあげる」
そう言ってぺろっと舌舐めずりをする様は美しく、それでいて艶めかしく感じられて、その綺麗なピンク色の唇に釘付けになる。
「ふふっ。そんなに意識して貰うのは嬉しいけど、そろそろ着替えないと二限目の保健体育に間に合わなくなるわよ」
カアッと顔が熱くなるのを感じる。なんだか気恥ずかしくて、顔を背けてしまった。
急いで着替えようとするが、足に力が入らない。なんとか着替えようと悪戦苦闘するも、結局見兼ねた七海に手伝って貰った。
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