自己PR3

指原さんの発表が終わったすぐ後に杦本さんの番が来たが、杦本さんは予想通りすぐに終わった。


「杦本雪…16。趣味は寝ることと食べること。好きなものはパフェ。好きなタイプは…分からない…性癖は特に無い。私は、細かいことを気にしないから、付き合っても今まで通り悠々自適に過ごしたい。付き合ってる人はいない。将来の夢は堕落した生活を送ること…眠い……」


(あまりこういうことに興味ないのかな?

でもそれならなんでこの高校に来たんだろう?)


それからも自己PRは続いた。

なかには、「性癖は緊縛です」って言ってる人がいた時は流石にドン引きしたけども…まあなんやかんやあってかなり進んできた。次は七海の番だからどういう感じなのか少し楽しみだ。


「姫宮七海です。年齢は16歳で、趣味は裁縫です。好きなものはファッション関連で、好きなタイプは一見凛としてるけどその実可愛い子です。性癖は特に無いですね。私の良い所は、一途なので付き合ったら沢山尽くしてあげるところです。今付き合っている人は居ません。将来は兎に角稼いで良い家庭を築きたいです。私はもう心に決めた人が居ますので…」


(七海はもう心に決めた人が居るのか。どうしよう……俺も高校で誰か見つけないとかな…)


それにしてもやけに七海と目が合った様な気がする。まあ気のせいかな?


 一時限目が終わり、気になることもあったので七海の席に行く。七海の席の前に立つと不思議そうに顔を上げた。


「どうしたんですか?」

「ちょっと気になることがあって。さっき七海が言ってた心に決めた人って誰なの?」


と聞くも、七海は


「いえ、それは然るべきタイミングで言うつもりなので今は言えません」

「そっか…私も早く誰か気になる人を見つけるべきかな?」

「えっ!?どうして急に乗り気に?」

「いや…恋愛推進制度のことを聞いたら気になる人ぐらいは探すべきなのかなって思ったから…」

「ホントですか!?因みに誰か気になってる人は?」

「…いや、今は特にかな」


「そうですか…よかった…」

そう言って七海は、あからさまにホッとした様子で何か言っていたが聞こえなかった。


「二限目は体育なのでそろそろ着替えて体育館に行きましょう」


 七海にそう言われて着替えようと慌ててカバンから体操服を取り出すが、ふと大事なことに気付く。


「着替えは何処でするの?」

 

数秒の沈黙の後、急に七海に無言のまま腕を引っ張られる。


「急にどうしたの?どこ行くの?七海?」


呼びかけるも返事は無く、そのままの勢いで体操服を抱えたまま着いたところは更衣室だった。


「ビックリしたー。どこに行くのかと思ったよ。あれ?でも私達しかこの更衣室に来てなくない?それに何だか狭いし…」

「それは…更衣室は二人兼用だからです」


(そうなのか…これも恋愛推進制度の為かな?)


「あれ?じゃあ更衣室は、私と七海がペアってこと?」

「それはちょっと違うけど…少々華恋と少し話したいことがあって…」


そう言いながら後ろ手に更衣室のドアの鍵を閉める七海。


えっ?なんで?




――――――――――――――――――――――

次回最初のわからせ回です。雰囲気出るように四苦八苦しながらも書き上げました。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る