　先生の説明に度肝を抜かれて呆けていると、一時限目が始まった。

「それではまずプリントを配りますので五分で書いて下さい」

あんな説明の後の自己PRに恐れ慄いているとプリントが回ってきたので杦本さんを起こして渡す。

「プリントだよ、杦本さん。頑張って書いてね」

「うーん…分かった。書く」

　受け取ってくれたので、自分のプリントに目を移す。プリントにはこう書かれていた。

名前＿＿

年齢＿＿

趣味＿＿

好きなもの＿＿

好きなタイプ＿＿

性癖＿＿

自分の良いところ＿＿

付き合ったら何をしたいか＿＿

今現在付き合っている人はいるか＿＿

将来の夢＿＿

皆に一言＿＿

（何これ！？こんなの書くの？いや…でもパートナーを探すって言ってたし、合理的ではあるのか？…俺も書くしかないか）

その時、一人が質問をした。

「先生！性癖はどう書けば良いですか？」

「そうですね…誰でも彼女募集中という人は性癖をオープンにして書いても良いし、好きな人にだけ明かしたいという人は特に無しと書くのが良いでしょう。まあそこは個人の自由なので自分達で考えて書いて下さい」

「分かりました」

（書かなくても良いのか…じゃあ性癖は特に無しにしようかな？）

五分経ってプリントが回収された。アレで大丈夫だったかな？と、今になって不安になってきた。

（でも、デブ専って書いたら女の子の反感を買いそうだし、全部当たり障りのないことを書いたけど大丈夫かな……）

「それでは、出席番号順に前に出て発表してもらいます。まずは安藤さん、前に出てきて下さい」

「はいっ！」

気合いの入った返事で前に出てきたのは、

身長１４０cmぐらいの小柄な小動物のような子だった。

「わ、私、安藤千鶴と言います。１６歳で、趣味は読書と料理です。好きなものはアニメや小説で、好きなタイプは私のことを守ってくれる王子様みたいにカッコいい人です！せ、性癖はデレッデレッに甘やかしてもらうことです…。私は料理が上手だと自負していますので、　付き合ったらいつでも美味しい料理を食べさせてあげられます！！付き合えたら二人で寄り添って映画やアニメを一緒に見たいです。今付き合っている人はいません。将来は、結婚して温かな家庭を築くのが夢です。この高校で素敵な人を見つけたいです！」

（応援したくなる素敵な夢だ…それにしても最後の方チラッとこっちを見てきたような気がしたけど気のせいかな？）