恋愛推進制度
「はぁっ…もう良いです。先生が説明します」
先生がそう言うと、杦本さんはまたうとうとし始めた。
「恋愛推進制度とは、その名の通り恋愛そのものを推進する制度です。大まかに説明すると、国は恋愛することを強く推奨し、お付き合いの中で生じる不利益や経費は国がある程度負担しますよーという制度です。その代わりに肉体関係を持っていたり、一定の年数以上付き合ったら結婚して下さいねという物です。そして結婚したら給付金を貰えますが、必ず一人は子供を産んで下さい。給付金は子供が産まれた場合は継続しますが、結婚してから一定期間を過ぎたら自動的に無くなりますよということです。勿論絶対に結婚しなければいけないという訳ではありません。ここまでで何か質問はありますか?」
すると七海が手を挙げた。
「はい七海さん」
「それではお金目当ての結婚なども起こりませんか?」
「良い質問です。勿論それは懸念されていますが、結婚までの正式な手順と手続きがあります。まず先程話した通りデートなどの経費は、手続きを通していれば国負担に出来ます。勿論それは正式な記録として残り、付き合い始めた時期なども当然分かります。そして、結婚するには最低でも一年半はお付き合いがあったという事実確認が取れてからとなっています。なので年間を通してデート数が少ないと、そもそも結婚が通りません。逆に一定年数以上付き合っていると、国から結婚自体を推奨されます」
「…分かりました」
「はい!では、肉体関係での結婚とはどういうことですか?」
先生が七海の質問に答え終わると、すぐに指原さんが質問した。
「それについては難しいものが多いですが、代表的なものとして肉体関係だけの付き合いといったものがあります。この国では、そもそも肉体関係のみの付き合いは原則として禁止されていますので、そういう人たちは罰則として、罰金か結婚かの二択を迫られます。そして肉体関係のみとは言え、ある程度の好感度は前提としてあるので、約4割の人は結婚を選ばれます。そして、結婚すると自然と子供のことを意識することが増えるので、そのまま自然と妊娠、出産される方が多いのです」
(へえー…この国の人達はまるきり貞操観念が違うんだな…まあでも結婚なんて言ってもまだ全然先のことでしょ)
「そして、皆さんご存知の通り周知の事実として恋愛推進制度には一つだけ絶対的な規則があります。それは30歳を超えるまでに独身だった方は結婚、または人口妊娠と出産をしなければなりません」
(えぇ!?それって結婚出来なかったら俺も妊娠と出産しなきゃいけないってこと!?やだよそんなの!?これは早いとこその難題をクリアしないと!?)
「なので、基本的に若い人ほど理想的な人と結婚する為に自分磨きに励んでいます。この高校は、そんな皆さんの為に積極的にパートナーを見つけられるような行事やイベントが盛りだくさんとなっています。その一環としてこの後の一限目に自己PRがあるので皆さん励んで下さい」
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