第21話 渦の中

――――――自宅。


僕は夕食を作る結月を後ろから抱きしめた。


「どうしたの?」

「…ゆづ、変な事聞いていい?」

「なぁに?」

「ゆづ、誰にも抱かれてない?」

「抱かれてない。いつも言ってんじゃん。」

「ほんと?」

「ほんとだよ。」


僕は常に不安。結月が誰かに盗られる気がして不安で不安でたまらなかった。


「ねぇ涼ちゃん」


結月が包丁を置いてこちらを向いた。


「なに?」

「涼ちゃんが不安なのはわかる。でも私も不安。涼ちゃん、誰とでもしちゃうから。だから、ちゃんと信じて。私も信じるから。信じてるから。」


「……ごめん。」

「わかってくれればいいよ。」



僕はまた…不安の渦の中に取り残された。


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