第18話 叶えられる夢がすぐそこに
「ゆづ、お前ちゃんと大学行けよ。幼稚園の先生にもちゃとなれよ。」
普段僕は言いたくないから言わないけど、
この日は前触れもなくその話をした。
「なんで?」
少し苛立った様に聞き返してきた。
「真凜いるから。お前の代わりにはなれると思う。考えたんだけど、希咲もお前もやりたい事やるべきだって。ずっとここに居なきゃいけないなんてないから。やりたいことやれ?」
「まだそれ考えてんの。実習とか、講義とかで居ないからその間の穴埋めならいいけど、あたしを辞めさてなんて聞いてないから。」
「そんな事は言ってない。」
「勝手に決めないで!!」
「……あのさ。」
僕と結月は初めて言い合いをした。
そして僕は結月に手を上げた。
…思い切り結月の頬を叩いた。
「お前を縛り付けてんのは事実だろ?!俺のせいでお前は俺といんだろ?!本当は家帰りたいんじゃねーの?!一人で居たい時もあんじゃねーの?!男と遊びたい時もあんじゃねーの?!縛り付けたくないから言ってんだけど?!俺と居るより同世代といた方が楽しいんじゃねーの?!」
すると、真凜が僕の襟を捕まえて引き離して思い切り僕の頬を叩いた。
「あんたさ、相手誰かわかってんの?あたしならいいよ。まだ20歳だよ?押さえつけてどーすんの。あんたが子供選んだんだから扱い方くらい気をつけなよ」
「子供じゃないです!!」
結月が真凜に刃向かった。
「……だったらさ、こいつの気持ちもわかってあげたら?あなたが可愛くて仕方ない事くらいわかるでしょ?だから悩んでんの。目にいれても痛くないくらいあんたが可愛いの。けどあなたの人生邪魔したくないからそう言ってんだけど?」
「それはわかります。でも私も悩んでるんです。涼ちゃんのそばにはいたいけど、幼稚園の先生にもなりたい。なれなかったとしても、子供に関わる仕事がしたい。」
「それがあなたの夢でしょ?叶えられる環境にいるんだから叶えなさい?涼太の面倒はあたしが見るから。こいつの面倒臭い性格は知ってる。だからといってあなたから盗ろうなんて鼻から考えてもない。ここでは仕事ではあなたの代わりはまだまだ出来ない。けど、こいつを支えるくらいなら歳の分だけ出来ると思う。出会ってからも長いし。もう3年?毎週会ってたからそれなりには扱いはわかる。……だからあなたはあなたの思う通りにやってみたら?」
「……考えてみます。」
真凜は結月を抱き寄せた。
そして耳元で囁いた。
「涼太は本当に面倒臭いから。でもね、誰といてもあなたの話しかしないの。手を上げたのもあなたが可愛いから。勘違いしないであげて。」
「はい…わかってます。ちゃんとわかってます。」
僕はその隙に外の喫煙所へ逃げた。
「ったくあいつ…また逃げた。」
「行ってきてもいいですか?」
「匂いついちゃうよ?」
「後でスプレーいっぱいかけます。あたしと涼ちゃんに。」
結月は誰から見ても可愛い子だった。
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