第12話 苦手

数日経ったある日、僕は間宮家に呼ばれた。

閑静な住宅街の中の大きな門構えの家。

インターホンを押すと門が開いた。

玄関までの距離もまた長い。


少し歩いて玄関に辿り着くと、母親が出迎えてくれた。


「どうぞ。」

「失礼します。」


立派な玄関、少し長い廊下。


客間の様な場所へ通されると、

間宮の母が飲み物を持ってきて僕の隣に座った。


僕が少し距離を取るとまた近付いてきた。


「今日、ご主人様は?」と聞くと、

「海外出張中で」と答える。


僕は嫌な予感がして、

「ちょっと失礼します」と席をたった。

「店から電話入ってたみたいで、ちょっと折り返しますね。」


と言って希咲にかけた。


「希咲。悪い。地下案件。ちょっとやばそう。頼む。」と言うと、


「あー、あの子の親?逃げてきたら?それしかないよ。」

「うん。そうする。」


電話を切って、店でトラブルが起きたと急いで家をあとにした。



―――――――――。


「希咲ありがとう。助かった」

「楽しめばよかったのに」

「絶対やばい。あれは苦手。」

「へー。涼太さんにも苦手があるんだ。」

「上からが苦手で。」

「人によるでしょ?」

「うん。…結月には言わないで。」

「わかってる。乗り込みそうだしね」

「うん。あいつやりかねなくて」

「涼太さんでもやるでしょ?」

「絶対やる。」

「同じだよ。」

「…希咲でもやるよ。未遂でも許さない」

「……。」


希咲は勝ち誇った顔をしていた。


「そりゃそうでしょ。お前も俺の大事な子だよ?」

「そりゃねー。」


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