第6話 希咲

一日仕事を終えると何も話したくなくて、何も考えたく無くなる。


店を閉めて外の喫煙所へ行くと、

希咲も来る。さすがに吸わせないが、ただ横に座る。


「……帰れ」

「うん。…星、綺麗だね」

「うん。」

「疲れたね」

「うん」

「分けてもいいと思うよ。」

「うん。」


希咲が言いたいのは『頼る先』の事。


結月にはカッコばっかつけて甘えられない。

本当は抱きしめて甘えに甘えたい。でもそんなことしたらそこら辺の男に盗られそうで怖かった。

それほどにあいつが好きだから。可愛いから。


でも希咲こいつは言葉にできない憂いに気付いてくれる。


ある日僕は、隣に座る希咲の首を掴んでキスした。キスして少しだけタバコの煙を入れた。


さすがに咳き込んでいた。

僕はそれを冷たい目で見てた。


「…酷いか?ならさっさと帰れ」

「……」


希咲はその場から動かなかった。


「なんでここにいんの。いっつも。」

「いたいから。」


この日は結月が休みの日。



僕は……希咲に本気のキスをした。

高校生のこいつに思い切り舌をねじ込んで絡ませた。


「…嫌なら帰れ。」


僕と希咲の舌が糸で繋がっていた。


「帰らない」


と言う希咲に僕はもう一度キスした。



「お前……手加減しねーぞ。」


僕は希咲の口を塞いで欲をぶつけて希咲の口内に吐き出した。

吐き出して、直ぐにキスして舌でかき混ぜた。生臭い匂いで包まれていた。


その間も収まらないそこを希咲に手で相手させていた。


「…ごめん。これが本当の俺。さすがにあいつには出来ねーから。でもお前なら…」


僕はまた希咲に唇を重ねて舌を絡ませた。

そして片足を上げて……。




希咲は僕にとって最初から何か特別な人間だった。


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