第7話 勝手にヒートアップ
「お前を殺す」
昼休みの教室。
俺・
目の前で奈集は買ってきたパンを勢い良く
そんな奈集に俺は、「あのな…」と手紙のことを説明しようと口を開く。ところが…
「なんでこんな
バンッ‼
勢いのある良い音が教室中に響き渡る。その音に反応した何人かの生徒たちが音のしたほうへ視線を送った。
彼らの視線の先には、俺たちがいた。
俺は自身の片手で作った手刀を振りかざしており、奈集は片手にパンを持ったまま両手で自身の頭頂部を抑えていた。
ふと周囲からの視線に気づいた俺は、思わず自分が椅子から立ち上がっていることにも気づいた。周りに「なんでもないです」とアピールするように軽い会釈を振りまき俺は、椅子にそっと腰を下ろした。
「あのな~いつも言ってんだろ。人の話は最後まで聞けって」
「…ごめん」
頭の叩かれた部分を摩る奈集を前に「はぁ~」とため息を一つ零す俺は、机に置いておいた箸に持ち直す。
「とりあえずそれ見てみ。あ、中はまだ見んなよ!」
俺は弁当の卵焼きを自身の口にほおりつつ、机の真ん中に置かれた手紙を見るよう奈集に促す。
俺の了承を耳にした奈津が手紙に手を伸ばす。
「…これは!」
奈集のその反応に俺は、その手紙に宛名と差出人の名前が無いことに奈集が気づいたことを察する。
「これ…封がハートのシールで止められている」
「そこじゃねぇよ!」
思わぬ予想外の回答を口にする奈集におもわずツッコミを入れてしまう。
「冗談だよ。で、これ誰から?」
なんだよ気づいてんのかよ。と口にしそうになりながらガクッと肩が落ちる。
「知らん」
「知らんのかい」
奈集は、その手に持つ手紙を裏表にしたり教室の明かりで透かしたりする。
「これさぁ…開けていい?」
耳に入る奈集の問に「ダメ!」と答えるも次に聞こえて来たのは、「わりぃもう開けてる」と言う奈集の声だった。
その返事を耳にした瞬間、俺は弁当に向けていた視線を目の前にいる奈集へ送る。送った視線の先で俺の眼に最初に映り込んだのは、封の空いた
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