第12話

「なんだと」と小声で執事はうめき、「えっ」とフリーズした果報はすぐさま反論した。


「困りますわ! そんなことをしてしまったらますます謎解きができなくなりますわ!


 貴方、せっかくのうらやましい特異体質なのに……私の幸福はそれをも打ち消すと言うの!?

 嗚呼、なんてこと……」


 昼間だというのにスポットライトが当たりそうな美少女の嘆き。

 照れるでもなく、ズレた彼女の言いように見守っていた通行人たちは皆「えっそこ!?」と内心ツッコんだ。

 「おにーちゃん、ふられたー」と幼児の声が辺りに響く。


 しかし刑事はめげなかった。

「ですが貴女がいると僕の周りは平和になりますし……それに貴女は優しく勇気があり美しい。

 僕、一目惚れしてしまったんです!」


「それは困りましたねぇ」

 こめかみに青筋を立てて、執事は間に割って入った。

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