第11話 新たなる決意
魔法使いは驚いた。
「あなたのことも他言しません」
「しかし……恋した相手への態度を変えることがあなたにできますか? 欺き続けることが、できますか?」
私は目をぎゅっとつぶり、開いた。
「彼への想いは、心の奥底にしまいます」
庭園でエミリに言われる前から、わかっていた。
私が愛すべきなのは、この国だ。結婚相手も、子を産むのもすべて責務。何不自由ない生活をこれまで送ってきたことへの、代償。
私は物語の主人公ではなかった。彼は私を拒絶した。こんな魔法使いにすがるまで、苦しんだ。私がそうさせた。
私を見る、美しい瞳。私にかけられるよく通る声、あの時差し伸べられた手を、諦めなければ。
涙をこらえる。
さようなら、私の恋。
私はこれから、国を愛する。
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