第167話 勇者の引退と幽霊騒動 Ⅳ

 廃業したホテルのレストラン。

 その奥にある厨房や倉庫を複数の男達が動き回っている。

 俺と茜、レイリア、ティア、メル、亜由美の6人はそれをレストランの一角から眺めていた。

 しばらくすると厨房の方から40代くらいの男がこちらに向かって歩いてくる。

 正確には俺達の方じゃなくてその隣にいる人物の方にである。

 

「明智警視、こちらの現場検証は終わりました」

「ありがとうございます。大浴場の方はどうですか?」

「そちらも終わっています。しかし本当にこちらで処理してよろしいのですか?」

「もちろんです。本庁の方には事前に了承を得ていますし、この後もそちらの全面的な協力が必要ですから。ただ、今後の展開によっては他の都府県との合同になる可能性もあるのでそれは承知しておいて下さい」

 それを聞くと男は実に嬉しそうに敬礼して再び厨房へ戻っていった。

 

「何だかすっごい大事になっちゃったわね」

「ぶぅ~! 折角の事件を華麗に解決! したかったのに。兄ぃのヘタレ! エセヒーロー! 女たらし! 短小! ふぎゃっ!?」

 勝手なことを言って俺を罵倒しだした亜由美アホ妹を引っぱたいておく。誰が短小だ!

「じゃが、つまらんのは確かじゃな。どうせなら全部終わらせてから引き渡せば良かったのではないか?」

「で、でも、やっぱりこういうのはお巡りさんに任せた方が。ユーヤさんがまた怒られてしまいますし」

「そうですね。行政に犯罪を取り締まる組織があるのですから、あまり頭越しに解決するのは問題になりかねませんしね」

 

 何の話かって?

 もちろん前回俺達がこのレストランの厨房、の倉庫で見つけた箱の中身に関連することである。

 箱の中には紙に包まれたいくつかの塊が入っており、包みを開けるとそこには”白い粉”! まぁ、厨房であることを考えると白い粉程度はあっても不思議じゃない。小麦粉とか片栗粉とか米粉とか塩とか砂糖とか……。

 ただ、もちろんそんなのが問題になるわけがなく、そこにあった物はどこにでも売っているという健全な白い粉じゃなくて、刑事ドラマでお馴染みの代物であったわけだ。鑑定君もそう言ってたし。

 

 んで、俺が選択した行動は、『勇者として事件を解決する!』なんてことはなく、専門家に丸投げ! である。

 ただまぁ、110番じゃなくて、色々とこちらの事情を最近の流行語である”忖度”してくれそうな警視庁の警視殿に連絡したというわけだ。

 そしたら警視庁のある霞ヶ関から小田原まで2時間も掛からず駆けつけてくれた。到着時間を優先して電車で来たらしい。ロマンスカー、そういえば乗ったことないな。

 ただ、小田原駅からタクシーでこの廃ホテルに着いて、一言目が「何もやらかしてないだろうな」ってのは納得いかないが。

 

 そうして俺達が見つけた物を確認した明智さんは直ぐさま神奈川県警に連絡を取りそれを回収。翌日、つまり今日になって現場検証とさらにホテル敷地内全域の捜索をしたというわけだ。

 そうすると出るわ出るわ、覚醒剤と大麻、コカインにヘロイン、拳銃、弾薬などが厨房の倉庫や大浴場のボイラー室、客室の物入れなどに分散して隠されていたのが続々と。

 聞くところによると近年でも屈指の押収量とのことだった。

 それと、最初に発見したのは俺達で、その連絡を受けたのが東京都を管轄する警視庁なのだが、小田原市を管轄するのは神奈川県警。

 そこで明智さんはこの件の捜査を神奈川県警小田原署に任せることにしたらしい。経緯を考えると警視庁主導で進めることもできるらしいのだが、第一発見者である俺達に対しての対応を明智さんに一任することと、この廃ホテルに出入りしていた男の子達に関して保護者や学校に連絡しないというのを条件に実績を全部譲ることにしたのだとか。

 

 行政組織である警察でも色々と実績やら功績やらが重視されるのは世知辛いことではあるが、そう考えると先ほどの男、神奈川県警小田原署の刑事さんの態度も納得できるものである。

 とはいえ、俺達への窓口が事情をある程度知っている明智さんが担ってくれるのもあの男の子達が親や学校から怒られたりしないように配慮してくれるのも助かる。

 私有地へ不法侵入したことも野生の熊に餌付けしたことも問題ではあるけど、親に連絡しないって約束しちゃったからな。警察には、まぁ、こういう事態になれば連絡しないわけにはいかないからそれは勘弁してもらおう。

 一応あの子達とは夕方にまた来るように約束しているのでその時に簡単に事情聴取をするらしい。

 まぁ、あっさりと要求が通ったのはそれほど多くのことを知っているとも思えないってのが一番の理由かもしれないが。

 

「にしても、次から次へと色々と厄介ごとを引き込んでくれるなお前さんは」

 そんなことを思い返していた俺に近寄ってきたのは見覚えのある人物だ。

「あれ? 仙波さん? なんで?」

「明智から連絡もらってな。県警にも一応話は通してある。船で密輸したモンを保管してた疑いが強いってことだから一応支援要請を出してもらってる」

 歩いてきたのは横浜の海上保安本部にいるはずの仙波さんである。

「別に俺が厄介ごとを引き起こしてるわけじゃないんですけど?」

「んなこたぁ分かってるよ。けどまぁ、自分で何とかしようとしないで俺達に知らせてくれたのは感謝するぞ。また変な正義感出してかき回されると後始末が大変だからな」

 失礼な言い草だが、これまでにしてきたことを考えると反論も難しい。決して悪いことをしてるわけじゃないけど2人に負担を掛けたのは確かだし。

 

 亜由美やレイリアは不満そうにしていたが、今回のことは全部明智さん達に一任することにした。

 そもそも俺達がここに来た目的は久保さんの叔父さんに頼まれたことの調査だ。そこにはクマ退治も麻薬取引の検挙も含まれていない。

 前回ロンドンで図らずも引き起こしてしまった騒動で懲りたのだ。

 目の前で事件が起こるとか俺の家族友人知人が巻き込まれたとかならこれからも力を振るうのは変わらないが、それ以外はできる限り首を突っ込まないようにしようと思う。

 それにそもそも日本の警察や消防(レスキューも含む)は優秀なので普通に生活している分には俺が手を出す必要なんてあるわけがないのだ。それに何よりこれ以上クロノスの姿を晒すと俺が恥ずか死ぬ。

 なので、サークルの会長に先んじて勇者稼業も引退である。

 ……というか、そもそも俺はこっちの世界で勇者やるつもりなんて欠片もなかったんだよな。どうしてこうなったのやら……

 

 茜達と雑談をしながら警察官達の作業を見ていたら、気がついたときには昼を過ぎていた。

 警察の人達もここでの現場検証は終了したらしく、今ではほんの数人が現場検証で動かした物を元の位置に戻している。

 時折デジタルカメラの画面を見ているのは完全に同じ位置に直すためだろう。

 この後は常に数人の警察官がこのホテルの中や周囲で監視し、押収した物品を取りに来るであろう人間を逮捕するために待機するらしい。そのためにも不審に思われないように現場を元に戻す必要があったのだ。

 

 ここに運んだ人間がいるなら取りに来る人間もいる。

 この廃ホテルが密輸取引に利用されているなら、密輸品を持ってくる奴か持ち出そうとする奴、できればその両方を捕まえたいのだろう。

 それを想定してここにいた警察官は全員私服や作業服姿で、車も普通のバンタイプでやってきたくらいだ。

 これなら元々工事関係者が何度か出入りしていることから誤魔化せると考えているのだろう。

 

 こっから先は俺達の関知するところじゃないし、調査に関しても続けて大丈夫と言われているので気にしないでいこう。

「で? オマエらはこれからどうすんだ?」

「元々俺達は頼まれて調査に来てるんでそっちをやりますよ。とりあえずどこかで飯を食って、その後ホテル内を回って、あ、夕方は男の子達と合流して権太の捕獲ですね」

「捕獲って、相手熊だろ?! 犬猫捕まえるみたいに軽く言ってんじゃねぇよ!」

「仙波、今更なことを言っても仕方がないだろう。コイツが異常なのは前からだ。武装したテロリストと比べれば熊など猫と変わらんだろう」

 酷くない?!

 

「いいか? 事件の解決は俺達に任せろよ!? これ以上首突っ込むなよ! 絶対だからな! フリじゃねぇぞ!」

「そうでなければ長官への説明と苦情の応対はそちらでやってもらう」

 そう言い残して仙波さんと明智さんは去って行った。といっても帰ったわけじゃなく小田原署で捜査本部を立ち上げるのでそちらに行くらしい。

 2人の失礼な言い草はともかく、俺としても気にせずに自分達の仕事をしないといけない。

 ……あの頭の寂しい長官の愚痴も聞きたくないし。

 

「えっと、久保さんの手配した施設の人が来るのは2時過ぎだっけ?」

「ああ、そう言ってたな。動物の保護施設でしばらく預かってくれるらしい」

 空気を変えるためか、茜が話題転換を図る。

 俺としても異存はない。というか、俺達のメインの仕事はそっちだ。

 例の権太の処遇だが、久保さんが叔父さんに連絡したところ、動物園の動物を売買したり経営不振などの理由で劣悪な環境に置かれた動物園の動物を保護したりしている施設があるらしく、叔父さんの知人を介してそこに一時的に預かってもらい今後どうするかを検討するということだ。

 俺達が見たところ人懐っこくて温和しいし愛嬌もある。それにおねだりもできるので、様子を見て問題ないのなら新しくできるリゾート施設で飼育するのも考えるということだった。

 そうとなれば早速捕獲してその施設に保護することにしたというわけである。

 万が一の事故を考えると早いほうが良いからな。

 

「ならまだ時間はありますね。お昼ご飯を食べに行きますか?」

「そうじゃな。できればパフェがある店が良い」

「小田原丼食べたい! あと、小田原おでんも!」

 うん。朝からバタバタして俺も腹が減った。ガッツリ食って夕方に備えよう。

 

 

 

 小田原市内のレストランでたっぷりと英気を養った俺達は廃ホテルに戻り、建物内を探索した。

 何を食ったかって?

 もちろん名物の小田原丼(特に決まった形があるわけじゃなく、小田原の新鮮な食材を1つ以上使い小田原の伝統工芸品である小田原漆器に盛り付ける丼物のこと)でたっぷりの海産物と、梅みそで食べる小田原おでん、名物のかまぼこの盛り合わせだ。

 もちろんレイリアと亜由美、それにメルはパフェも追加した。

 

 ホテル内の探索といっても、隅々まで警察官が捜索しており、不審な物は押収された物以外見つからなかったと聞いているのでほとんど形だけだ。

 というか、測定機器がなくなったことと獣の唸り声は男の子達と権太だし、幽霊騒動は密輸品を出し入れした連中の人影を幽霊と誤認したことだろうからほとんど仕事は済んだようなものだ。

 上手くいけば今日中にも権太を捕獲して、警察が密輸業者を逮捕すればお役御免となる。

 まぁ、権太はともかく、無法者共の逮捕はそうそう終わらないだろうし、念のため数日は俺達も様子を見る必要があるだろうけどな。

 なので夜も巡回はするつもりだし。

 

「あ、あの子達来ましたね」

 ティアの言葉に俺達はホテルの門の方を見ると、回りをキョロキョロと見回しながら、ビニール袋を持った男の子2人が入ってくるのが見えた。

 門は開け放っているし俺達と約束しているのだから堂々と入ってくれば良いのだが、いつも勝手に忍び込んでいる癖なのだろう。

「よう! 来たな」

「あ、う、うん」

「それで、権太、どうなるって?」

 挨拶もそこそこに、健二が聞いてきた。

 やはり小熊の頃から餌をやっていたから気になって仕方がないのだろう。

 なので、俺もキチンと話をする。

 

「動物園に引き渡す前の動物を世話する施設ってのがあって、当面そこで面倒見てくれる。様子を見て、多分だけど新しく作る施設でマスコットとして飼うことになりそうだ。そうなったら君らも会いに来て良いってさ」

 俺が久保さんの叔父さんから聞いた話をすると、昭彦も健二もホッとした表情を見せる。

 何よりすぐにではないにしても自分達が権太とまた会えるってのが大きいのだろう。

 月の輪熊の寿命は飼育下で約30年。まだまだ権太も昭彦達も若いことを考えればこれから先何度でも会える。

 

「でもどうやって権太を捕まえるの?」

「さすがに檻に入るのは嫌がると思う」

 プールの手前側に施設の人が置いていった大型動物用の檻がある。

 それを見ながら健二が疑問を投げるが、そりゃそうだ。いくら権太が人慣れしてるからといって野生の熊だ。簡単に入ってくれるわけがない。

 檻の中に餌を置いておびき寄せるのも手だが警戒してここにやってこなくなったら面倒なのでそれはやらない。もっと確実な手を使う。

「それはこっちでやるから大丈夫。権太に怪我させたりしないから心配すんな。君らはいつも通り権太に餌をやってくれれば良い」

 俺がそう言うと昭彦と健二は戸惑いながらも頷いた。

 

 グォォォン! キュゥッ! ウォマァッ!

 太陽が山に差し掛かるくらい傾いた頃、権太が昭彦達を呼ぶ声がプールの向こう側から響いてきた。

「来た」

「権太だ」

「よし! んじゃティアとレイリアは向こうに回ってくれ。茜達はここで待機。昭彦と健二はいつも通りに」

 俺の指示に全員が頷く。

 作戦開始である。

 

 ティア達が左右に分かれてプールを大きく迂回して権太の背後に回るのを待って、健二を先頭に権太のいる方に近づく。

 クゥォマァッ!

 2人の顔を見て嬉しそうに鳴く権太。

 地面にぺたんと座り込んで拝むように前足を上下に振る。

 俺の顔を不思議そうに見て首を傾げる仕草も愛嬌たっぷりだ。

 ってか、本当に警戒心ないな。

 マジで放置しておくとマズそうだ。

「権太、お待たせ」

「ほら! ご飯だよ!」

 2人がビニールに入っていた果物を投げると、待ってましたとばかりに権太がキャッチして齧り付く。

 一部が茶色く変色したリンゴだったが権太にとってはご馳走らしい。実に美味そうに食っている。

 ほんの2、3口で食べきると次を要求して頭を上下左右に振ったり前足を交互に上げたりしてアピールしている。しかし、こちらに近寄ってこようとしないのは2人を脅かさないためだろうか。

 

 持ってきた果物や野菜がなくなると、権太は満足そうに口の周りを舐め、2人に向かって甘えた声で鳴く。

 健二がゆっくりと権太に近づいてその頭を撫でると、嬉しそうに頭を健二の胸に擦り付ける。昭彦も同じように首の周りを撫でてやると、そっちにもスリスリ。

 ……ホントにコイツ野生の熊か?

 まぁ良いや。

 2人が離れると名残惜しそうに一声鳴くと、権太が山に帰るために立ち上がる。

 そろそろ頃合いか。

 

 俺が一歩足を踏み出すと、ピクッと権太が反応した。

 何? という顔で俺を見て首を傾げる。

 それに構わず近づく俺。

 警戒する権太……警戒?……お腹見せて転がってますけど?

「えっとな、権太、このまま山に帰らすわけにはいかないんだ。これからも2人と仲良くするために捕まえさせてもらうな」

 キュゥゥン。

 ……何だろ、すっげぇ罪悪感。

 非常に複雑な心境を抱えたまま権太に近づくと、胴体に手を回して持ち上げる。

 さすがにジタバタと権太がもがくがその程度じゃ俺の腕からは逃れられない。

 暴れながらも逃げ道を探すように山の方を見ていた権太だが、目にした方からティアとレイリアが姿を現すと、諦めたのか大人しくなった。

 全てを諦めきった、乱暴された女の子みたいな目で虚空を見つめるのはやめて欲しい。マジで罪悪感で死にそうです。

 

 ぐったりと力が抜けた身体が持ちづらいので一度地面に下ろすが、それでも権太は逃げる素振りを見せない。

 健二達が心配そうに見守る中、権太をお姫様抱っこで抱え直し、檻に運ぶ。

 中に下ろし、権太を中に残したまま扉を閉める。

 ガチャンと冷たい音が響き、切なげに健二と昭彦のほうを見て「キュゥゥゥン」と鳴く。

「権太!」

「また会いに行くからな!」

「兄ぃ、鬼。悪魔」

 亜由美、俺にトドメを刺そうとするのは止めろ。

 

 男の子達の言動や権太の表情にグサグサと精神を傷つけられながら、俺は引き取ってくれる施設の人の携帯に連絡する。

 施設自体それほど遠くにあるわけじゃないのだが、上手くすれば今日中に捕獲できると話をしていたので近隣で待機してくれていたのだ。

 15分ほど待つと檻を運んできたトラックが再びやってきて、施設の職員さんが手慣れた様子で車載クレーンで荷台に載せる。

 注意深く見ていたが、適切な飼育がされていなかった動物の保護も行っている施設だけに権太を不安にさせないように気を配ってくれているのがわかり安心する。

 

 そうして準備が整った後は予定では権太を見送り、健二と昭彦の自宅近くまで戻ったときに明智さんと小田原署の女性警官がごく簡単な事情聴取をするはずだった。

 だが、2人としてはまだ権太と離れがたく、権太も不安一杯、ということで施設の方の厚意で2人も一緒に施設に行き、権太がしばらく暮らす場所を確認してから自宅まで送り届けてくれることに。

 施設の場所も電車とバスで1時間も掛からない場所とのことなので、その後も会いに行って良いらしい。

 実際に権太のために色々と頑張った俺達よりも施設の人のほうが感謝されているのが切ない。

 そうした感情を抑えて明智さんに連絡を取り、施設に向かう途中で聴取をすることにしてこの件は終了だ。

 

「ユーヤさん、この後はどうしますか?」

「ん~、久保さんの依頼としてはこれで終わりってことにしても良いかもしれないけど、まだ密輸業者が捕まったわけじゃないし念のため何日かは様子見をしようか」

「一応久保さんに連絡して確認した方が良いんじゃない? これで終了にして欲しいって言われるかもしれないし」

「なんじゃ、これで終わりか? わざわざ皆で来たのにつまらぬではないか。なんなら我等がこの建物の解体まで…」

「駄目だっつってんだろ!」

「駄目に決まってるわよ!」

「おおぅ、最近主殿とアカネは我に当たりが強くないか?」

 こっちに原因があるような言い方は止めろ。

 数千年を生きる黒龍の威厳と落ち着きはどこに出張してやがる。

 

 とりあえず久保さんの叔父さんに連絡したところ、念のためもう数日様子を見て欲しいとのことだった。ただ、解決の目処が立ったので後はのんびりとレジャーを楽しみつつ近隣の観光資源や隠れたグルメなんかが見つかったら報告して欲しいと言われた。なんだか申し訳ない。

 なんにせよもうしばらくはお仕事継続である。

 というわけで、幽霊騒動の検証はしておくべきだろう。

 全部が全部密輸業者の仕業とは限らないしな。

「と、いうことで、今日の夜中に探索な」

「「えぇ~~!?」」

「「いぇ~~い!」」

 2パターンに分かれた反応に、俺とメルは顔を見合わせて苦笑いだ。

 

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