特別のダンジョン
意識がはっきりしてくると、俺は大きな扉の前に立っていた。扉には「八重隼人特別製ダンジョン」と彫られ、日本語で「合言葉をどうぞ」と書かれたコンソールが目の前に現れる。
俺は立ち上がり、迷うことなくコンソールに向かって日本語で入力を始める。
「合言葉は、俺だけの楽園っと…」
―入力承認。
―第2認証に移行します。
以下の質問にお答えください。
あなたは童帝ですか?
「なにこの質問…失礼じゃない?童貞のことだろ?でも、童貞から皇帝にまで昇格したってことかよ。…イエス!」
―入力承認。
あなたのような人にハーレムを使いこなせますか?以下の意味で。
「もちろん、これから無双するんだからさ!俺のエクスカリバーでね。…これもイエスだ!」
―入力エラー。
回答にエラーがあります。
本当に使いこなせますか?
「え、エラー!?…じゃあ、ノーにしておくか。」
―――。
―入力承認。
「なんだよ、この焦らしパターンは!焦らせやがって!」
冷や汗が額に滲む。せっかくユニークスキルを手に入れて、ダンジョンに入れるのに、ここで入れなかったら俺の異世界ライフは終わってしまうところだった。
―入力承認。ダンジョンに入場する許可を得ました。
おめでとうございます、マスター。
これからは、マスターのサポートをさせていただきます。よろしくお願いしますね、童帝。
「おい、最後の一言はいらないだろ!」
―エラーが発生しました。再起動します。
「誤魔化すなよ、分かってるんだからな!」
―。
「もういいよ、さっさと中に入れてくれ。」
―了解しました。扉を開きます。
大きな扉がギギギィィという音を立てながら開く。どうやらかなり古いようで、辺りにホコリが舞い上がる。奥は暗くてよく見えないが、かすかに何かが光っているのが見える。俺はその光を目指して歩き始める。
通路に足を踏み入れると、自動的にたいまつが灯り、暗闇を照らしてくれる。そこには、台座に突き刺さった一本の赤黒い剣があった。
俺はその剣に向かって走り寄る。が、ふと思う。
「女の子たちはどこにいるんだ…?」
頭を過るが、まずはこのファンタジーの象徴とも言える剣を手に入れるべきだろう。もしこの剣が魔剣だったら、俺の異世界無双が確定する。
俺は台座から剣を引き抜いた。
「い、痛いっ!少し丁寧に扱ってよね!」
剣が話してる!?周りを見渡すが、誰もいない。俺は剣を軽く振り回してみる。驚くほど軽く、しっくり手に馴染む感覚だ。
「ブンブン振り回さないで!まだ主と認めたわけじゃないんだから!」
剣に映った俺の姿は、どう見ても20代前半の若いイケメン。異世界仕様の布製の服を着た俺は、すっかりこの世界に馴染んでいるようだった。高身長で整った顔立ち、まさに異世界転生主人公らしい姿だ。
「この剣、やっぱり魔剣か?そして俺は、最強になれるのか…?」
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