異世界転生したらハーレムダンジョンと魔剣をもらったけど、なぜか女神に見下されている件についてどう思いますか?

@とむ

異世界転生したら

異世界転生――それは、男の夢がすべて詰まった第二のチャンス。


「俺だけの特別製ハーレムダンジョンに入れるユニークスキルをください」


俺は高らかに願いを告げた。しかし、目の前の女神は、まるでゴミを見るかのような冷ややかな目をしている。


「おい、なんだその顔は。『ユニークスキルを一つだけあげる』って言ったのはそっちだろ?いいか、俺はモテない。だからこそハーレムを作りたいんだよ!」


女神はため息をつき、頭を抑えながら首を横に振った。


「分かりました。上と相談させていただきます」


そう言って俺を見下す女神に、ガッツポーズを決めた俺は得意げに返した。


「頼むぜ、ハーレムは男の夢だからな!」


両手を合わせ、女神に必死の祈りを捧げる。神様、仏様、女神様、どうかこの夢を叶えてくれ!


すると、女神が突然口を開いた。


「上と相談しました。では、ダンジョンに入るためのパスワードを設定しましょうか?」


「パスワード?『俺だけ楽園』でいいんじゃないか?」


「分かりました。異世界転生後、ダンジョンの前に転送する手配をいたします」


「ありがとうございます!!」


ついに俺は異世界に転生する。前世ではブラック企業で酷使された末、過労死という最悪の結末を迎えたが、今度こそ俺はハーレムでモテモテになる。そして異世界で無双するんだ! 異世界転生主人公なら、これが常識だよな。


しかし、女神は再び口を開く。


「ただのハーレムでは異世界転生主人公としては認められません。そこで、魔剣はいかがでしょうか?」


「魔剣?」


俺の心は踊った。魔剣とは、たとえば暗黒龍の鱗で作られた剣――『魔龍王剣ヴェストニアース』とか。ひと振りで大地を割り、大空を裂く伝説の武器。もうこの世には存在しない鍛冶師が鍛えた一品とかだったら……最高だ!


「いいじゃん、めっちゃいいじゃん!」


俺は興奮で震えていた。


「では、ハーレムとセットにしておきます」


え、魔剣を今すぐくれるわけじゃないのか? 最初から魔剣を持って、何もわからず最強のモンスターをぶった斬る展開を期待していたんだけどな。


「まあいい、これで俺は最強になれるはずだ!」


女神は微笑みながら告げた。


「では、異世界転生を始めます」


その笑顔は、童貞の俺には刺激が強すぎた。思わずドキッとしてしまうほど、彼女は可愛くて、スタイルも良くて、しかもいい匂いまで漂わせている。


あぁ……俺のハーレムに加えたいぐらいだ。


そんなことを考えているうちに、俺の意識はだんだん遠のいていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る