第6話パワハラ上司
僕は7年間貿易に関する仕事をしていた。
朝の6時半には、現場で使うと書類を準備して、普通は夕方帰れるのだが、突然上司から、
「お前、今日、夜勤な!」
と、言うので、
「すいません、課長。今夜は用事があるんです」
「お前がやらないで、誰が夜勤するんだ。そんな用事、キャンセルしろっ!」
と、言われて、彼女の誕生日のお祝いの食事をキャンセルした。
彼女は烈火の如く怒り、僕を責めた。
翌週、遅れたけどお祝いをした。
朝、6時半に出勤して夕方の5時まで他人の船の仕事の手伝いをさせて、夜23時入港の船に乗らなければなからなかったが、仮眠を取る暇も与えずに、仕事をさせた。
僕は3年間、下っ端として働き、たまには夜勤が翌日の13時まで続くことも多かった。
交代は来ない。
特殊なコンテナ船で、英会話が出来ないと仕事にならないので、代わりがいない。
この貨物船の担当は決まっていた。
3年間、下っ端をすると、4年目に現場監督の地位に立つ。
下っ端のやつらは、仕事を教えても教えても間違えるから、監督は普通は貨物船の事務所で書類と格闘しながら、現場の様子を見なければならないが、パワハラ上司は他の課の使えない人間を僕につけるので、入港する前に、殆どの書類を作り、現場で指揮した。
それで、夜勤明けの昼間に会社に戻っても、「お疲れ様」の一言も無い。
他の課の上のヤツらは、僕の事を、
「羽弦再生工場」、「48時間男」、「猛獣使い」と呼んでいた。
ある日、課長が飛ばされ、係長が手配するようになると、いよいよイジメ的な仕事をさせた。
コイツは課長よりは、デキが良いだろうと思い、ある日の晩、6時過ぎに係長を焼き鳥屋に誘った。
乾杯をした後に、ビールを飲み焼き鳥を食べだして、10分もしない内に電話をしていた。
きっと、仕事の事だろうと黙って聴いていた。
係長は、笑いながら週刊マンガの話しをしていたのだ。
それでも、いい。楽しく飲んでいるのであれば。
しかし、その電話は1時間半続いた。そこで、僕は切り上げ、酒代は僕が払った。
その日以降、コイツが課の連中から飲みに誘われ無くなった。
僕が、この事を言い触らしたからだ。
自分がスッタの時は、上司に噛みつき、仕事は出来ないクセに、係長になり仕事を理解していないから、ストレスで痔になり手術、そして入院。
皆で、お見舞いに行き、帰りは皆でキャバクラに行った。
今は、もう当時の課長は定年が近いので役に立たず、係長は人間関係の難しい部署に飛ばされた。
当時、僕と同じスッタだったヤツラも係長になったが、風の噂では苦労しているらしい。
当たり前だ。難しい仕事は僕が全て担当だったのだから。
7年間我慢したら、精神病になって退職に追われた。
病気で英単語を殆ど忘れた。悲しい。
あの会社のバカ共は絶対に許さない!
それでいて、係長は、
「お前、この会社で一番仕事出来ねぇんだから、もっと動けよ!」
僕は、コイツ轢かれないかなと思った。
アイツらが多少難儀しても、給料は嫌になるくらい貰っている。
僕は7年間我慢して、退職した。
最後に、会社のビルに一礼して居酒屋に飲みに行った。
しかし、この会社の中で最も質の悪いヤツを書かなくてはいけないだろう。
それは次回の時に。
★すいません、僕のミスで話がテレコになりました。
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