第2話犯罪者

この男と出会ったのは9年前に、病院で。

仲良く話し、よく飲んだ。一回もコイツは金を出さなかったが。

コイツの左手の小指はない。

昔はその世界の男だったらしいのだ。

僕に、よくケンカの話しや、犯罪の話し、いわゆる武勇伝を自慢していた。

3度逮捕され、合計して12年間懲役に入っていたそうな。

コイツと縁を切って2年だが、仲が良かったのに何故か?と、言えば、僕に生活が苦しいから、2万円貸して欲しいと言われて、財布から取り出して札を渡した。

ありがとな!と、言ったコイツはタクシーを止めて、名古屋市の繁華街まで乗って行った。そう、僕からの2万円は飲み代だったのだ。

これでコイツに不信感を持つようになった。

離婚して、名古屋に来て働き生活していたが、コイツに女が出来た。年の差、20歳以上下のガキ。48のくせして、21歳の女のカップル。女も2度逮捕歴がある。未成年男性との問題で。


婚姻届の証人欄に、僕と千茶に無理やり名前を書かせた。

しかし、2ヶ月後には離婚した。

馬鹿じゃ無いのか?結婚を何だ?と、思っていのか。

極めつけは、僕と母が一緒に居るときに、遊びに来た。

母はお茶を出した。

「お母さん、えぇ〜私は懲役に12年務めていましてね、色んな事を学んできました。人を半殺しにしたり、覚醒剤で2度も逮捕されまして、えぇ、一度は公務執行妨害で逮捕されした。そう言う世界の私から見て、息子さんはボンボンでまだ甘えてますよ!中卒の私の方がはるかに頭は良いと思います。法学部なんて、簡単ですからね。息子さんは、頭もあまり良くありせんね」

と、母に言い、僕は頭に来たので帰らせた。


母は、

「懲役12年行ってる人間が偉そうに。犯罪を自慢するなんて、縁を切りなさい。何で自分は中卒のクセに自慢して、あの男、馬鹿じゃないの?」

僕もそう思っていた。ケンカで負けた事は無いと言ったが、夜、駅で見知らぬ人から顔面を殴られてメガネを壊して、頬が紫になっていた。反撃はせずに交番に行った。それから、繁華街で客引きの外国人に蹴りを入れたらボコボコされて、肋骨を骨折した。

コイツ、口ばっかりでケンカに勝ったことが無い。

また、頭が良いと言うので、2次方程式の問題を解かせたら、こんなん解いて何の意味があるんだ。生活の役に立たないだろうが!

と、言って2次方程式さえも解けなかった。


2年前のある日、生活がとても苦しいから金を貸してくれ!と、言われこれで手切れ金だと思い5千円貸して、このクズとの縁を切った。

電話もLINEも拒否設定にした。

自宅は暗証番号を知らないと侵入出来ないから安心だ。

勿論、貸した5千円は返って来ていない。

犯罪者で懲役を自慢する馬鹿。

思い出すだけで、憎ったらしいクズだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る