第二章 魔法信者
2-1
お
「お腹すいた……」
「あれ? 私どこで寝た? え? えーっと」
そう考えていくうちに、少しずつ意識がはっきりとし始め、私は飛び起きると部屋を見回した。
「え? え? も、もふちゃん!? もふちゃん!」
そう
「ど、どうして? え? でも
私は頭を
夢じゃなければよかったのにと
「あ、あ、あ……やらなきゃいけなかった仕事終わってない。けど、もう行かなきゃ。でもお
時間が毎日足りなさすぎる。
私はどうしたらいいのだろうかと、パニックになりながら
それから
こういう時だけ、職場が近くにあってよかったと思う。
走れば三分の
「おはようございます」
どうにか始業時間に
しまったと私は顔を
「ああ~いいご身分だなぁ。昨日は俺に
!?」
朝からやらかしてしまったと心の中でげんなりしていると、ロドリゴ様はいつものように机を
「お、おはようございます。その、ぎりぎり間に合っていますが……」
そう伝えると、ロドリゴ様はまた机を叩く。
「お前がまず言うべきは、申し訳ございませんでした! だろう! 昨日は俺に迷惑をかけて申し訳ございました! そして今日は遅刻して申し訳ございません! だろうが!」
「も、申し訳ございませんでした……」
「はぁ~
しょっぱなで
こんなことを考えてしまう自分は性格が悪いのだろうか。
高圧的で、早く仕事を終わらせろと言うのに、ねちねちと。
けれどそれがおかしいと見ている人達は
私がもっと仕事が出来て、私がもっとうまく立ち回ればいいのだろうか。
小一時間ほど付き合わされたのち、どうにか仕事を決められた時間までに片付けていく。
朝はパン一つだったから、お昼になればお腹がすくはずなのに、昼休みになり食堂に行って、目の前にサンドイッチが並べられてもやる気はおろか食欲さえ
私、なんのためにここにいるのだろう。
そう思いながら、サンドイッチをどうにか口に
味はしなかった。ただただ、口の中に入れたものを水で流し込むように食べた。
重い足取りで席に
私がやりたかったことは。
そう思っていた時、周囲がざわつき、一体なんだろうかと顔を上げるとこの部屋には似つかわしくない、高身長で
もふちゃん。夢でいいからもう一度会いたい。
そんなことを考えていると、その男性は私の方へ向かって歩いてくるので、こちら側に何かあったかなと首を傾げると、美しいその人が、私を見つめた。
「魔法陣
どこかで聞いたことのある名前だと思い、私はアルベリオンとついたことで、目の前の人が、女性の
昔、
当時はまだ第一王子殿下だったルードヴィッヒ様はすでにご結婚されていたこともあり、彼女らの熱い視線は婚約者のいなかったオスカー様に注がれたのだ。
そして
ざわめきの理由はこの人かと思い、なるほどと
白銀色の髪はまるで雪のように美しく、そしてその青い瞳は青空よりも
けれど納得はしても
「だ、第二王子殿下にご
がたんと立ち上がって私がそう言うと、何故かオスカー様は
王子様の微笑みの
オスカー様が私に話しかけるのを
「王立騎士団のオスカー殿下が、どうしてメリル嬢に?」
いきなり割って入ってきたロドリゴ様に、オスカー様は一瞬
「今朝がた魔法信者が
「そういうことなら、まずは俺に話を通すべきだろう!」
オスカー様にも通常通りに
「ふむ。確かに部署的には同じようだが……魔法陣射影師は一人だと聞く。失礼だが、
ロドリゴ様はその言葉に顔を真っ赤にすると
「俺はこの部署では一番長く仕事をしている
その言葉にオスカー様は目を細め、どこか納得はしていない様子だけれど話を続けた。
「ではロドリゴ殿にも参加していただこう。彼女の先輩というのであれば、
「あぁ。それが筋だろう」
「では、同行してくれ」
「あ? 今すぐ?」
今すぐにとはロドリゴ様も思っていなかったのだろう。だけれどこの流れでは後に引けず、ふんと鼻息も荒くうなずいた。
「分かった。まあ、
「助かる。では、現在の
「承知した」
「は、はい」
私とロドリゴ様はオスカー様に連れられて別室へと向かうために歩き始める。
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