第54話戦闘

「くっ、自爆だと!?戦利品が台無しだ!」

マーガレットは激怒した。

私達は総てトーマス様の作品であり、全オートマータの頂点に立つ、金銭的価値は計り知れない。

「価値の解らない俗物にやるぐらいなら、爆破した方が娘達の為だ……」

爆炎を背にトーマス様が姿を現した。

「探す手間が省けたぞ!トーマス!投降しろ!」

「断る」

トーマス様は女の申し出を即座に断る、投降したところで軟禁され、彼らの欲望を満たす為に利用されるのは分かりきっていたからだ。

「まあ、話ぐらい聞けって!大統領はな、美しい幼女を用意すると言っている……好きに消費してもらって構わないそうだぞ?」

「トーマス様の為に自国民を捧げると言うの?」

私は疑問を口にした、データによれば大統領は国民の代表、国益の為に民を犠牲にすると言うのか?

「黙ってろ人形!私はトーマスと話している、無論ドール以外の国から調達するさ?民あっての国だからな……」

「金や幼女を用意してもドールには戻らん、そもそも何だ?その悪趣味な義体は?マリオ・ミミクリー?」

トーマス様は女を指差しマリオと呼んだ。

女はトーマス様を睨んだ、人形である私にもわかるかなり怒っている。

「はぁ!?この美しい義体の何処が悪趣味何だ!」

「義体は……まあ合格ラインだが……いい歳した男が女体化とかどうかしてるぞ……」

女の義体に男の脳を積んだの?

私にはない発想だった、非効率だ、生身と同じ性別の方が制御しやすいはずなのに…

「ペドフィリアのお前に言われるとはな……よし決めだぞ!お前も義体に変えよう?そうだな金髪の幼女型の義体なんかどうだ!きっと女体化の素晴らしさが理解できるぞ!」

とてつもなく気持ち悪い事を言い出した、マリオとか言う元男は理解不能の生き物のようだ。

「話にならんな……取り敢えず死んでくれ……」

トーマス様の背後から獅子型の人形が現れた。

イレイザーレオ、トーマス様がこの戦いの為に用意したストリングパペットだ。

人形を観た、女の顔が狂気に歪む。

「トーマス・アークロード……直々の人形繰りとはな!みなぎってきた!」

「オートマータでもよかったのだがな…操り糸にも利点がある……短いショーになるだろうが、楽しんでくれ……お代はお前の命だがな!!」

トーマス様は指先の糸から魔力を通す、すると獅子の目が光る。

「はは!」

マーガレットが獅子に正面から突進する。

あの男?いや今は女か?

おそらく奴は近接格闘タイプ、私との戦いでも素手だった。

獅子は女を爪で引き裂こうとする!

あと僅かで女の皮膚に爪が立てられようとする瞬間!

女は人間の可動域を超えた動きでくぐり抜け、何かを投げつけた。

トーマス様はそれを紙一重で躱した。

躱された物体は地面に激突し穴を発生させた、まるで大砲が当ったかと思わせる程だった。

「私が投げれば只の石でさえ砲弾になる」

女は自慢げにかたると投石を続けた。

トーマス様は人形を操り石を撃ち落とし、攻勢に出ようとするが。

(あの義体トーマス様の作品と互角に渡り合っている……)

あの女は言った、私たちの動力に差はほぼない、ただ思考にエネルギーを割いてる分で、私が負けたのだと。

「トーマス!最近のドールでは頭さえ無事なら墓は要らないんだよ!とびきり可愛い女の子してやるよ!」

あの女………トーマス様の脳を本気で幼女の義体に乗せる気だ。















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